旦那様の突然のイメージチェンジに驚き魔した。



職場から帰宅した夫の髪の毛がなくなっていました。





玄関の扉が開き、開閉の振動に合わせてドアの上辺に取り付けられたベルがガランガランを軽快に鳴る。
家族の帰宅を知らせる合図だ。


なまえは厨から完成した夕飯の品を並べるために、目の前のダイニングテーブルに料理を盛り付けた皿を運び始める。
玄関から近づいてくる愛しい足音を耳で捉えると出迎える為に入口の方へ顔だけ振り向いた。


「なまえちゃん、ただいまー」
「シチロウちゃんおかえりなs・・・」

自分の視界に飛び込ん出来た衝撃のあまり、なまえは思わず料理が盛られた皿をもったままにも関わらず一気に手を振り上げてしまった。
予期せぬバンザイで夕飯の料理がそのままビュンと空中に打ち上げられる。

「にぎゃーーー!?!?!?か、髪がない!!!!」

「いや、髪はあるって」
「え、え、え、どうしちゃったの!?え、え、!?」

料理はどうやらバラムが重力操作の魔術で浮かせて回収してくれて事なきを得たようで、ふわふわとお皿に戻ってテーブルに着地していた。

動揺の収まらないなまえはそのままぐるぐるぐるぐるとバラムの周りの回りだした。
その様子がなんだかこの間テレビの動物番組で見た、長い時間会っていなかった飼い主のことが分からずに、遠巻きに観察する犬のようだな、とバラムは思った。
それでは早く飼い主だと認識してもらおうと、バラムはその場で自分のつむじが見えるであろう高さまでしゃがんでやった。

もふもふの髪の毛をわさわさするの好きだったのに!!だの、でも普段は見えない眉毛が見えてかわいい!だの、
え、短くてもふわふわだ!?じょりじょり部分気持ちいい!!だのと、思惑通りバラムに近づいたなまえは新しい髪型を弄びながら声高に叫んだ。
まだ興奮冷めやらぬ、といった様子のなまえのウエストをわし掴むとバラムは抱き上げて腕の中に仕舞い込んだ。
未だふうふうと鼻息の荒い妻を落ち着かせるように背中をさすって、よしよしとあやした。

呼吸が追いついたころ、なまえが口を開く。

「なんでまた急にイメチェンを!?」
「ちょっとね・・・少しでも生徒に近寄ってもらいやすくなるかなって」
「・・・シチロウちゃん」

頬を指で掻きながら照れたように語るバラムに、なまえの胸はきゅうんと切なく締め付けられる。
どこまでかわいいことをするのだろうか、わたしの小鳥ちゃんは。

「この髪型・・・だめ?」
「ううん、そんなことない!私の小鳥ちゃんはとーってもかわいいわ!」

妻の答えに満足したのか、彼女の愛しい小鳥は目尻を下げて笑う。



「おかえりなさい、私の小鳥ちゃん」
「ただいま、僕の奥さん」




結論、新しい髪型の旦那様もかわいいのです。



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