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【 欲求不満なわけがない 】


「航くん今日もだめ…?」

「……ごめん、クソ眠い。」

「そっか。…おやすみ。」


前回したのは確か一週間前。今夜こそえっちをしたかったようで、控えめに誘ってきたるいには悪いけど、早く布団に入って眠りたくて断ってしまった。

でもるいは不満を言わない。これはもういつものことで、俺が『いいよ』って言うまで文句も言わず我慢している。

昔から俺はるいにこんな思いばかりさせている。きっと欲求不満だろうなぁと思いつつ、るいのペースで頷いてたら身が持たなくなるから、そうホイホイ頷くわけにはいかない。


「次の土曜日にしよ。」って、眠る前に一言言えば、るいは「やったぁ、おやすみ」って嬉しそうな顔をして言いながら、チュッと俺の唇にキスをして眠った。


ムラムラしているのを我慢しているからかそれ以上俺には触れず、背中を向けられてちょっとだけ寂しかった。



【 おたくの旦那、朝から目元ピクピクしてるよ? 】


翌日仁からそんなラインが送られてきた。目元がピクピク?なにそれ、ストレス?


【 欲求不満なのかも。昨日も断った 】

【 あ〜。 】

【 可哀想かな? 】

【 いいんじゃね? 】


仁とは包み隠さずそんなやり取りもする仲で、【 えっちがキツくてもしゃぶってやるだけでもしてやったら? 】っていう意見を貰ったから、今晩はそうしてみようと思う。



「るいきゅんこっちおいで。」


るいが風呂から出てきたあと、ベッドの上で手招きすると、「ん?」って首を傾げながら歩み寄ってくるるい。

るいが目の前に来ると俺はそっとるいの股間に手を伸ばし、撫で撫でと突然撫で始めたから、るいは「えぇ…?」って困惑気味の顔をして「なに?してくれんの?」って口を開いた。


「うん。るいが欲求不満だろうから舐めたげる。」


そう言った瞬間、眉間に皺を寄せてムッと不機嫌そうな顔をするるい。


「俺そんなこと言ってねえだろ。」

「言ってなくても溜まってるだろうなーってのは分かるから。」

「溜まってるじゃなくて溜めてんの、次航とする時楽しみにしてんだからそんな気使ってもらわなくていい。」


いつも優しいるいだけど、俺が言った言葉が気に食わなかったのかちょっとキツめの口調でそう返されてしまった。


「…やっぱ溜まってんじゃねーか。」


ボソッと小声で反発したら、るいは黙ってジッと俺を見下ろしてくる。そしてぐりぐりと髪を撫でられ、「あのな?俺溜めてから航とするのすげー好きなの。」って今度は優しい口調で言ってくる。

それがるいの“嘘”というわけでも無さそうだけど、やっぱり俺が我慢させてるからそんなことを言わせてしまっているんだろう。

それでもるいは俺のことをまったく責めず、にっこりと笑いながら「だから次の土曜日すっげー楽しみ」って言ってきたから、俺は失敗したなぁ…と思った。

何故なら、今晩はちょっとだけしたい気分になってきたからだ。


まあでも、今更『やっぱり今日しよう。』とは言い出しづらくて、結局約束の土曜日までやらなかった。ムラムラが溜まってるのはもしや俺も同じくらいかもしれない。


るいは約束の日の朝からご機嫌で、「いつでもいいよ?朝からする?」って、布団の中でさわさわと俺の身体を撫でながら抱きしめてくる。


「いいよ、俺も早くしたい。」


自分自身も少々溜め過ぎてしまった自覚があり、ムラムラする下半身をるいの足に擦り付けながら言えば、るいはにこにこと笑いながら「わっ、航くん朝勃ちしてるね」って言いながら俺のズボンの中に手を突っ込んできた。

パンツの上から揉み揉みと揉まれ、それだけでちょっと気持ち良い。


「…ンッ」


口から漏れ出た俺の声にるいは手を止め、真顔でジッと俺を見つめてきた。


「…ん?…どうした?」

「航くんビンビンじゃん。」

「…うん、俺もちょっと溜めすぎた。」


正直にそう言ったら、るいはゆるゆると口元を緩めて「じゃあ今日はいっぱい一緒にイケるね」ってご機嫌な顔をして話しながら俺のズボンとパンツを脱がしてくる。

収納場所からローションを取り出し、さっそく俺の尻の中をローションで濡らした指でるいにいじられ、まだそれだけなのにピクッと身体が反応してしまい、るいはにやけた口を手で隠しながら、「今日の航くん感度最高…っ」って、にやにやしながら言ってきた。だって俺も今日をちょっとだけ楽しみにしてたから。


互いに全裸になって、カーテンの隙間から朝の日差しが差し込む部屋で向かい合う。俺はこうして、朝から気持ち良いことするのは結構嫌いじゃない。夜にするとどうしても眠くなってくるから。


人のことを散々ビンビンとか感度が良いとか言ってきといて、自分のモノだってピクピクと早くイキたそうに反応しまくっている。


「るい入れただけですぐイキそう。」

「そうなっちゃうかも。今日は3回くらいしてほしいな。」

「1回目にかかる時間による。」


そんな会話をしながらるいはゆっくり俺の中に入ってきて、ゆっくり二度ほど腰を振ってからすぐに動きを止め、俺の手首を掴みながらキスしてきた。

るいの下半身はちょっと震えている。こいつ俺の言った通りすぐイキそうなんだろうな。

俺は身体でそう感じ取り、わざとるいのモノを締め付けるように力を入れて腰を揺らしたら、るいは「あッ…!」と声を出しながらぶるっと身体を震わせた。


すぐに俺の腰を両手で鷲掴みながら、激しくパンパンと俺の尻に腰を打ちつけてくる。

るいがイッた瞬間は、すぐに分かった。


「も〜っ!わたる、っ、くんのバカっ、すぐイッちゃったじゃん…っ!!」


どうやらるいはすぐにイクのは嫌だったらしく、自分で腰を激しく打ちつけておいてイッたあとに息切れしながら俺に文句を言ってきた。


「るいはそれくらいのスピードでイッてくれた方が俺としてはありがたいんだけど?」


正直なことを言えばるいにぶうっと不貞腐れるような顔をされ、「はいはい、今日は3回くらいしてあげるから」って言えばまたイチャイチャと甘えるようにご機嫌な態度でくっついてきて、元気なるいを相手にするのは体力がいくらあっても足りない。


欲求不満な思いをさせてるかも?と思いつつ、やっぱりるいとのこの行為は、ゆっくり時間がある時にのんびりやりたい。

だからこれからも『溜めてから航とするのすげー好き』って言ってくれたるいに甘えてるいには我慢してもらいつつ、約束した日はいっぱいるいに構ってやろうと思う。


欲求不満なわけがない おわり


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