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イケメン、モテ男、リア充の高野真桜は、俺と同じクラスのやたらノリが良い男の親友で、その男、タケと何故かその場の勢いで一緒に勉強することになったのは数日前の出来事だ。
なんと向かった先は、高校からチャリで5分の距離にある、イケメンモテ男の今までまったく関わり無かった高野 真桜の自宅である。
男女共に友達が多いタケと、イケメンモテ男の高野の家で俺と柚瑠が勉強しに行くなんて…なんか変だなとは少し思った。だってこいつらには何のメリットも無い。
しかしその変な出来事の裏には、タケの思惑があったのだ。
そもそもタケからの絡みが増えたのはフードコートで会った日から。妙にバスケ部の事を聞いてきたり、柚瑠のことを聞いてきたり。
まあそのタケの行いにはそこまで気に留めることは無かったけど、自分の目の前で見た高野 真桜の挙動には、さすがにいろいろ不思議に思うことがあった。
『なぁ、高野ってひょっとして不思議ちゃん?』
『ん?真桜?いや?全然?』
『昨日なんか、すげーオロオロっつーか、アタフタっつーか、落ち着かなさそうにしてたけど日頃からあんな感じ?』
『あー…。』
まったく接したことのなかった学年のモテ男の言動を目の前で見て、思ったことをタケに言ったら、タケは笑いながら、でもちょっと困ったように暫し黙り込んだ。
『帰り道に柚瑠とも高野の話になってさぁ、』
『まじ?柚瑠なんか言ってた?』
『え?…あー、人見知り?とか言って笑ってたけど。』
妙に柚瑠の反応を気にするタケは、その後『ん〜。』と腕を組みながらなにやら暫し考えていた。
そして数秒間の沈黙の末、いきなりニカッと笑ったタケは、馴れ馴れしく俺に肩組みしてきた。
『は?なになに。』
『タカ、俺ら仲良くしようぜ。』
『はい??なんだよいきなり。』
『タケタカコンビ結成しよう。』
『まったく意味がわからん!!』
『お前とは仲良くなれそうだ。』
『ほんとに思ってんのかよ!?』
何を思っての発言なのか、タケの意味不明な態度は暫く続いたが、最終的に諦めたように俺にこそっととあることを口にした。
『…これは他言無用なんだけど、真桜が柚瑠を気になってるっぽくてな。』
ああ、なるほど。だから俺とお前が仲良くしたら、自ずと高野と柚瑠も関わりが増えるだろうから…、
……って、ええ!?!?
あの高野が柚瑠を!?
なんで柚瑠!?!?
『あ、ほんとまじ好きとかそんなんじゃなくて気になってるーって程度だから。』
………あ、うん。
つまりはすげー気になってるってことね。
他言無用ってことはそれほどマジだってことだろ?
俺はまだ何も言ってないのにやたら弁明したがるタケに、『わかったわかった。』と頷いた。
しかし何故あの女子にモテモテな高野が柚瑠を?っていう疑問はあるけど、その話を聞いた上で改めて高野の挙動を思い返すとすげえ納得がいく。
『じゃあ今度またみんなで勉強会するかぁ。タケの教え方わりと良かったから俺的には全然オッケー。』
『まじー?よっしゃ決まりだな!俺結構賢いっしょ?』
そう言ってぐッと親指を立てるタケに、俺も同じく親指を立てた。
それが、先日の勉強会での翌日の会話。
そしてその後の俺とタケは、クラスで絡むことが増え、普通に仲も良くなって、期末テストに備えて週末にまた先日のメンバーで勉強会をする計画を立てていたのだった。
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