矢田るいの変化の理由(after後半) [ 6/87 ]
「矢田くんってほんと、変わったよねぇ。」
皆が口を揃えてそういうほど、矢田 るいは変わった。それは確かな変化で、まるで人が変わったようだ、とか、別人だとも言われるほどの変化である。
「友岡くんの影響凄いなぁ。」
そしてこうも言われる。
まあ確かにそれは間違いではない。
航の影響で、るいは変わったのではあるが。
「いや、違うね。」
しかし当の本人、友岡 航は、るいの変化に対してそう否定していた。
「なにが違うの?」
不思議そうに問いかけるのは奈知だ。
奈知もまた、航の影響でるいが変わったと思っている一人で、それを否定してくる航が理解できない。
どう考えても航の影響だろ?と言いたげな表情なのだが。
「るいが変わった理由は多分俺しかわかんねえと思う。」
「え、なにそれ。意味わかんない。」
「るいが俺に優しくなりだしたのを、俺はこの身体で感じてんだよ。」
「ますます意味わかんない。」
「それまではわりとツンケンしてたと思うんだよね。」
「それまでって?」
「…俺にそれ言わせる?」
「まじ意味わかんない。」
奈知は航の発言を聞くたびに、理解出来ずに首を傾げた。
そんな奈知に、航はコソコソ話をするように奈知の耳に口を寄せる。
そして、コソリと一言こう言った。
「えっち。」
「……えっち?」
奈知の頬は少し赤くなった。
チラリと控え目な奈知の目が航に向けられる。
「うん。えっち。
流れ的にはこう。えっちします、気持ちいいです、るいえっちにハマる、航くんえっちしよ?で、俺拒否る、俺のゴキゲン取ってくる、はい、ここで俺に優しいるいの出来上がり。」
「うわぁ………なんか、やっぱ、あの矢田くんでも快感には勝てなかったって感じ?」
「それ。」
「つーことは航の影響で変わったのではなく、セックスで変わったってこと?」
「うむむむむむ」
「こらこらこらぁ!お前らなんかよくない会話をしているな!?航くん俺のこと全然分かってねえな!?」
突然ひょっこりと航と奈知の前に現れたのはるいで、良からぬ話を聞いてしまったるいは瞬時に会話に加わった。
「なちくん聞いて?今の違うから。流れ的にはこうな。
えっちします、航ちょーかわいい、またやりたい、えっち誘う、航に拒否られる、俺航のゴキゲン取り開始。」
「……ごめん、違いがイマイチよくわかんなかった。」
「はい、結論出たな。ドドン、矢田 るいが変わった理由は! えっち である!!!」
「違う!!!!!」
矢田 るいの変化の理由 おわり
[*prev] [next#]