野球大好き大和くん
◇ 登場人物早瀬 大和
177cm
生まれも育ちも関西の大学生
趣味であるプロ野球観戦が生き甲斐
本屋でバイトしている葵
172cm
大和の野球観戦仲間
大学生(大和とは別の大学 頭良い)りと
177cm
大和のいとこ繋がりで仲良くなった男
他県に住む大学生 歳は大和の二つ下
◇ 早瀬家の朝
とある一室の床に衣類や雑誌、そしてプロ野球グッズが散らばってる中、雑に敷かれた布団の上で腹を出してすやすやと眠っている男が居た。
昨晩野球観戦から家に帰ってきてそのまま眠ってしまったのか、野球観戦用のユニホームを着たままだった。
そんな中でけたたましく鳴り響くスマホのアラーム音。
「おいこら大和!はよアラーム止めろや!!!」
「ぐふっ」
数十秒間アラームが鳴り続けた末、部屋に入ってきた父親にゲシッと身体を蹴られ、大和は目を覚ました。
むくっと布団から起き上がり、ぼりぼりと頭を掻く。くわっと大きな欠伸をして、ゆらりと立ち上がった。
「…風呂はいろ。」
頭に痒みを感じて、大和は昨夜お風呂に入らずに眠ってしまったことを思い出した。パンツとタオルを持って風呂場へ。僅か数分でシャワーを浴びた大和は、タオルで雑に髪を拭きながら居間に顔を出した。
「えっ!?まじか!イチロー引退か!!!」
テレビ画面に目を向けてすぐ、物凄い勢いでテレビに駆け寄る。
「邪魔じゃボケ!退けや!見えへんやろ!!」
シッシと大和に向かって虫を払うような動作をしながら白ご飯と味噌汁を食べている父親の声に、大和は渋々テレビ画面から視線を逸らさず椅子に座った。
大和のヒーローだった。
プレー姿がかっこよくて、大好きだった。
ヒーローの書籍はたくさん読んだし、ヒーローの名言はほとんど頭に入ってるくらいだ。
「あぁ〜…とうとう引退か…。レジェンドの引退は寂しいなぁ…。」
大和の目は少し涙目だった。
「大和も味噌汁飲むか?」
「…おつかれさんでした。ほんま、かっこよかったで…。」
「大和ぉ!!!味噌汁飲むかて聞いてんねん!!!」
「ああ飲む飲む!!!」
ペシン!と母親に頭をおもいきり叩かれた大和は、慌てて返事をした。
「ハッ…!あかん!!スポーツ新聞買わなあかん!!!やっぱ味噌汁要らんわ!!!」
「はあ!?もう入れたわ!!これくらい飲んでから行け!!!」
母親の怒鳴り声に、大和は大人しくぐびぐびと味噌汁を飲み干してから、急いで出かける準備をして家を出て行った。
「ほんま朝から騒がしいやっちゃなぁ。」
のんびり味噌汁を啜り、テレビを見ながら大和の父親は呟く。
これが、実家暮らしの大和の家、
早瀬家の日常である。
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