りなが赤 りとが青 るいが黄色(小学生) [ 13/87 ]
小さい頃から、りなたち3兄妹は、傘、長靴、お箸、お茶碗、ハブラシとか…お母さんが勝手になんでも色分けをしていた。
りなが赤色、もしくはピンク。
お兄ちゃんが青、もしくは水色。
りとが黄色、もしくは黄緑。
りなはなんの不満もなかった。
ピンク色の傘はお花の柄が入っていてとっても可愛い。
お兄ちゃんも特に不満はなく、青い傘をさしていた。
でもりとは、いつも雨の日はむっすりと不機嫌に黄色い傘をさしていた。
りなはずっと、りとは雨が嫌いなんだろうなと思っていた。
りなも雨の日は外で遊べないから好きじゃないけど。花柄の可愛い傘をさして歩くのは好き。ピンクの長靴をはいて、水溜りをじゃぶじゃぶ踏むのも好きだった。
梅雨の季節は、特に不機嫌なりと。
黄色い傘をさしてむっすりしている。
連日の雨で、りとはそれはもう不機嫌だった。不機嫌なりとは、登校中傘を壊してずぶ濡れになった。
お兄ちゃんがそんなりとに、青い傘を貸してあげている。
優しいお兄ちゃんは、壊れた黄色い傘を持って、りとの頭をなでなでと優しくなでた。
「黄色嫌だったらお母さんに言えよ…。」
りなはその時ようやく気付いたのだ、りとは雨が嫌いなんじゃなくて、黄色い傘が嫌だったのだ、と。
その日から、りとの色は青色になった。
そして、お兄ちゃんの色は黄色になった。
けれど、だんだん大きくなるにつれ、色分けをすることはなくなった。
懐かしい、幼少期の思い出だ。
りなが赤 りとが青 るいが黄色 おわり
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