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その後猛は「じゃあまた明日。」と帰っていき、残されたのは空になった弁当箱2つと猛が貸してくれたノートとそして幼馴染みの光くん。

奴は恐らく、帰る気がない。
俺の部屋着を着てる時点で、こいつ俺の部屋に泊ってく気だな、と悟っていた。


今日だけだからな、お前に文句を言わないのは。と思いながら、さっさとお風呂に入ってしまい、猛から借りたノートを写す。

その間、光はずっと大人しく、テレビも見ることもなく、俺のベッドに寝そべっていた。


21時過ぎ、ちょっと早いが今日は疲れたからもう寝よう。とベッドに向かうと、「佑都寝るの?」と問いかけてきた光は、珍しく素直に俺のベッドから身体を起こし、立ち上がった。

「うん。」と頷き、布団に入る。

「俺お風呂入ってこよー。佑都タオル貸してねー。」


自由すぎる我が幼馴染みに適当に返事をし、眠りについた。





早く寝過ぎたからか、夜中に一度目が覚めてしまった。しかし目が覚めた理由はそれだけじゃない。

人の身体を抱き枕にして、寝ている奴がいるからだ。

胸に腕を回されており、寝苦しくて目が覚めた。

幼い時なんかは雑魚寝をしていると必ずと言っていいほど人を抱き枕にする光。抱き枕にされたのは久しぶりだ。


部屋の電気は光が消してくれたようで、真っ暗。その真っ暗の中、俺の身体に回った光の腕を退けて、ベッドから起き上がった。


寝室を抜け出し、冷蔵庫からペットボトルを1本取り出す。コップに水を注ぎ、一気に飲み干し、ホッと息を吐いた。

喉が潤ったところで再び寝室へ。


すぅすぅと気持ち良さそうに寝息を立てて眠っている光の腕を布団の中に入れ、俺も布団の中に入った。


なんで俺、普通に光と同じベッドで寝てんだろう。という疑問を頭の片隅に置きながら、俺はもう一度眠りについた。







朝6時過ぎに目が覚めた。
目覚めはあまりよくなかった。
何故なら、また俺の身体を抱き枕にして寝ているやつがいたからだ。

暑苦しい光を引き剥がして、ベッドから抜け出す。光はまだすやすやとよく眠っているのでそのまま寝かせて、俺は洗面所で顔を洗いに行った。


シャカシャカと歯を磨いているところで、寝惚け眼な光が背後から現れる。


「佑都おはよ〜」

「んぁー。」


歯を磨いているので適当に返事をする。


「……あ!俺の歯ブラシがないっ!」


そりゃねえだろここ俺の部屋なんだから。

こいつさては寝ぼけてるな?


「…あ、ここ佑都の部屋だった。」


やっぱり寝ぼけてた。

ハミガキを終えて、制服に着替える。


「光昨日から1回も部屋帰ってねーんだから1回帰れよ。」

「うん、佑都も一緒に帰ろうね。」

「なんでだよ。」

「なんでも。」

「…はいはい。」


こいつ昨日からずっと俺から離れる気ねえな。どんだけ俺のこと心配してんだか。

しかしまあ逆の立場になったら俺もひょっとして、こいつのことを心配して、片時も離れないかもしんねえな。


そんな思いを抱きながら、制服に着替え終え、鞄を持って、部屋着のままの光と共に部屋を出た。光の手には、昨日光が来てた制服。


あ、そう言えば俺の着れなくなったカッターシャツ。見るだけで腹が立ってくる、ボタンが吹っ飛んだカッターシャツ。

クソ、着替え買わなきゃなんねえじゃねーか。と思った俺は、光にちょっと軽い気持ちで言ってみた。


「なあ、俺のカッターシャツあのゴリラに弁償てもらうようお前風紀委員長にメールしてみてくんねえ?」

「オーケイ、メールする。そんなん弁償してもらえるに決まってるよ。」

「あとででいいぞ。風紀委員長まだ寝てるかもだし。」

「オーケイ、メールした。」

「はえーよ。」


時刻はまだ、7時ちょっと前だった。


第6章【 親衛隊 隊長 の 役割 】おわり


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