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ゆずちゃんを階段から突き落とした生徒と、一緒に居た生徒らは、風紀委員室で反省文を書かされていた。


「1年、夏木 光だな。なんか用か?」


反省文を書いている生徒の目の前で偉そうに腕を組んでる生徒が一名。風紀委員長といったところか。
とても偉そうなので俺は勝手にそう決めつけた。


ゆずちゃんはこれから保健の先生と念のため病院へ行って診察してもらうらしいので、保健室から一人出てきた俺は、なんとなくここに奴らが居るんじゃねえかと思って風紀室へ赴いたのだ。


「あーえーと、ゆずちゃん階段から突き落とした奴に文句言いたくて。」

「悪いな。お前が絡むと厄介だから大人しく帰ってくれ。」

「嫌です。やったのそいつらですか?」


顎で風紀委員の前に座る生徒3人を指すと、そいつらは3人揃ってキッと俺を睨んできた。


「さあな。いいから帰れ。」

「嫌です。腹の虫がおさまりません。」

「今新歓中だろ、戻れよ。お前生徒会だろ。」

「嫌ですって。」

「強情な奴だな。」


風紀委員は呆れたように俺を見る。
俺は風紀室の中へ、一歩一歩足を踏み入れた。


「あれー手が止まってんぞー。さっさと反省文書けよ。」

「おい!お前なに煽ってんだよ!」


見下すように奴らに言えば、風紀委員に怒られた。奴らはさらに俺を強く睨みつける。


「神谷様の幼馴染みだからって偉そうにしてんなよ!!」


とうとう耐えきれなかったのか、奴らが俺へと牙を剥く。


「そうだぞ!!お前が階段から落ちれば良かったんだ!」

「調子乗りすぎなんだよお前!!」

「じゃあなんで俺じゃなくてゆずちゃん狙ったんだよ!!そんなに俺がうざいなら、俺を狙えばよかったじゃねえか!」

「なんも分かってないなお前は!神谷様は優しいから、お前なんかでも傷付くと神谷様を悲しませるんだよ!!」

「へえ?なんも分かってない、…ねえ?」


俺はその一言に、バカにするようにスッと目を細めて奴らを見た。

よくもまあそんなこと言えたもんだ。
俺は「ハハッ」と渇いた笑い声が漏れる。


「幼馴染み舐めんな、なんも分かってねえのはお前らだ。佑都、自分の親衛隊がゆずちゃん階段から突き落としたって聞いてすげえ動揺してたぞ。落胆してた。別に誰だろうと関係ねえんだよ、佑都はお前らがそんなことするのを望んでない。お前らは佑都を裏切ったんだ。」


俺の発言に奴らはグッと唇を噛み締めた。

大嫌いな俺にそんなこと言われて、さぞかし俺が憎いだろ。もっと憎めよ。ゆずちゃんを憎む必要なんてない、佑都の親衛隊は俺だけ憎んでればいいんだよ。


「おら、気が済んだかよ。」

「いたっ。」


数秒間の沈黙が訪れたその後、側にあったファイルでパシッと風紀委員に叩かれた。
その顔は呆れ顔で、やれやれ、と言いた気だ。

すみませんねぇ、やれやれ。
さて、んじゃまあ言いたいこと言ったし帰ろうか。


「あ、お邪魔しましたー。そいつらにちゃんと5000字くらい反省文書かせてくださいねー。」

「あほか!多いわ!!」


風紀委員のツッコミにヘラヘラ笑いながら、俺は風紀室を後にした。


「なんだあいつ、…つかめなさすぎ。変な奴とは聞いてたけど…つーかドSか?」


俺が部屋から出て行った後、風紀委員が扉をジッと見つめてそう呟いていたことなど、まあ俺が知る由もない。



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