1 [ 87/172 ]
ここ最近、雨降りでじめっとした天気が続いている。どうやら梅雨入りしてしまったようだ。
「雨うっぜー…。」
湿気でぴょんぴょん跳ねてしまう髪を手で押さえながら、傘をさして大学へ。
「おお、なっちくん今日は早いな。」
「おー航キタキタ!雨だから早く学校来ちゃってすげえ暇だったぁ。なあなあライン見た?」
「ライン?見てない。」
教室に到着するとなっちくんの姿がすでに有り、なっちくんの隣の空席に腰掛け、雨で濡れると嫌だから、と通学中はポケットから一切取り出さなかったスマホを手に取る。
スマホ画面を見ると、ラインアイコンの右上に59と数字が表示されていた。
「うわー、またあいつら?うっぜー。」
こんなにラインの未読メッセージが溜まってる時は大体クソカベとモリゾーとなっちくんと俺の4人のライングループでやり取りが行われている時なのだが、ラインを開けて見ると予想は若干はずれ、新たなライングループが作られていた。
【 日下部春樹の誕生日を祝う会 】
メンバーはクソカベ、モリゾー、なっちくん、俺に加え、るいと雄飛も追加されている。ここで俺は、溜まった59件のラインメッセージを開いてみた。
《 クソカベがモリゾー、なっちくん、友岡 航、矢田 るい、雄飛を招待しました。》
クソカベ
【 次の日曜、俺の誕生日!】
クソカベ
【 みんな祝って! 】
クソカベ
【 矢田くんにお願いが。 】
クソカベ
【 りなちゃん誘って! 】
クソカベ
【 さすがに自分で誘うのは恥ずかしい(> <) 】
モリゾー
【 場所は航と矢田くん家 】
なっちくん
【 航と矢田くんいい迷惑 笑 】
なっちくん
【 てか日下部自分で自分の誕生日祝う会とか作っててまじウケる 笑 】
クソカベ
【 自分から行動を起こさないと誰も祝ってくれないじゃまいか 】
モリゾー
【 俺が祝ってやるよ 】
クソカベ
【 モリゾーに祝われても別に… 】
クソカベ
【 俺はりなちゃんに祝われたい! 】
クソカベ
【 ねえ矢田くん早くライン見て 】
クソカベ
【 はやくはやくはやくはやく!!! 】
クソカベ
【 お兄さまってば!ねえはやく! 】
《 雄飛が矢田 りとを招待しました。》
雄飛
【 こっちのお兄さまなら返信速度ガチはやいっすよ。】
矢田 りと
【 呼んだ? 】
モリゾー
【 ガチすぎwwwww 】
クソカベ
【 おお、宇野くんサンクス。弟のライン知らなくて誘ってやれなかった。 】
矢田 りと
【 誘っていらなかった 】
クソカベ
【 冷たいこと言うなよ!弟りなちゃんを誘ってくれ! 】
《 矢田 りとが矢田 りなを招待しました。 》
矢田 りと
【 自分で誘えば? 】
クソカベ
【 あっ!ちがう!そういうことじゃなくて! 】
矢田 りな
【 なに?このグループ(`・ω・´) 】
クソカベ
【 りなちゃあああああん!!!!! 】
クソカベ
【 俺次の日曜日誕生日なんです!!! 】
クソカベ
【 良かったら誕生日会に来て欲しいなーって! 】
クソカベ
【 お兄さまからりなちゃん誘ってもらおうと思ったんだけどお兄さまから返事こなくて 】
矢田 るい
【 俺日曜バイト 】
クソカベ
【 えっ 】
クソカベ
【 …(;_;)休めない? 】
矢田 るい
【 無理 】
なっちくん
【 …日下部ドンマイ…。 】
矢田 るい
【 人の予定をまず聞け 】
矢田 りと
【 兄貴無慈悲すぎ爆笑 】
クソカベ
【 じゃあみんないつなら空いてる? 】
クソカベ
【 土曜日は? 】
矢田 りな
【 土曜はりな友達と遊びに行く〜(*´ω`*) 】
矢田 りと
【 日曜にりなとクソカベ2人で会えば解決 】
クソカベ
【 弟…!b・ω・´)b 】
矢田 りな
【 2人で!?無理!!!ゴリラ余計なこと言うな!!! 】
モリゾー
【 日下部ふられたな。 】
なっちくん
【 ドンマイ(´-`).。oO 】
クソカベ
【 りなちゃんそう言わずに!!! 】
クソカベ
【 みんなでなら良い!? 】
矢田 りな
【 みんなでならね(^^)v 】
クソカベ
【 み・ん・な!!!!! 】
クソカベ
【 頼むよみんな!!!!! 】
クソカベ
【 てか航早くライン見ろよ!!! 】
なっちくん
【 航たぶん今通学中だよ 】
なっちくん
【 教室で航待ち 】
なっちくん
【 あ!航来た! 】
モリゾー
【 航おは〜 】
矢田 りと
【 航おはー 】
矢田 りな
【 航くんおは〜!】
矢田 るい
【 わた 】
矢田 りと
【 兄貴誤送信爆笑 】
矢田 るい
【 お前のその爆笑ってのいちいち苛つくわ 】
矢田 りな
【 それわかるー 】
ここまでのラインのやり取りをとりあえず流し読みだけして【 おはー 】とだけ返すと、すぐにクソカベからメッセージが送られてきた。
クソカベ
【 おい幹事!返信遅いぞ! 】
は?幹事?俺が???
「航勝手に幹事扱いされてるウケるっ!」
俺の隣でなっちくんが、スマホ画面を見ながら爆笑していた。
矢田 りと
【 大爆笑 】
しかしライン上ではりとくんが大爆笑していたが、彼の大爆笑している姿はちょっと想像できない。
「とりあえずクソカベはりなちゃんにさえ会えりゃ大人しくなるよな。」
「うん、だと思うよ。」
「まあ俺日曜暇だしりなちゃん家に呼んで、りなちゃんからオッケー出たら解決だな?」
「んー、まあ。そうかな?」
なっちくんと会話をしながら、俺はさっそくスマホで文字を打った。
友岡 航
【 じゃあ俺日曜空いてるから来れるやつ俺んち集合ってことで。りなちゃんもおいでー 】
矢田 りな
【 りな1人じゃ行き方わかんない! 】
クソカベ
【 俺が迎えに行きます(`ω´) 】
友岡 航
【 行き帰りはりとくんに任せなー 】
クソカベ
【 俺に任せな(`ω´)ノ ヘイ! 】
モリゾー
【 日下部イキイキしはじめたww 】
矢田 りと
【 じゃあクソカベ任せた 】
クソカベ
【 弟グッジョブb`ω´)b 】
矢田 りな
【 えー…(´Д`) 】
友岡 航
【 りとくん来ねえの? 】
矢田 りと
【 行く 】
友岡 航
【 じゃありとくん任せた 】
クソカベ
【 航てめえ( `皿´ ) 】
雄飛
【 りと行くんだ? 】
矢田 りと
【 うぇ〜い 】
友岡 航
【 雄飛は? 】
雄飛
【 行きます。 】
「雄飛行くってことはなっちくんも来れるんだよな?」
「うん俺も行ける。」
「じゃあこれでみんな揃ったんじゃね?」
「矢田くんバイトじゃん?」
「るいバイトは午後からだからそれまではいけるだろ。」
「あ、そうなんだ。」
友岡 航
【 じゃあ次の日曜クソカベの誕生日しゃあなし祝ってやるよ会っつーことで 】
モリゾー
【 りょーかい 】
矢田 りな
【 オッケーヽ(*^ω^*)ノ! 】
クソカベ
【 みんなありがとう!!!!! 】
こうして次の日曜日、俺とるいの家にて、クソカベ主催のクソカベ誕生日会が行われることが決定した。
[*prev] [next#]