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「友岡くん行儀悪いよー。」
夕飯を頼みテーブルについて、食堂の椅子の上で正座をすると、仁が笑いながら突っ込んできた。同時にるいと古澤くんからの視線が突き刺さる。
「…航、むずむずすんの?」
「うん。」
お恥ずかしながら、えっちした後はお尻が落ちつかないから、座るのも少し躊躇ってしまう。
「うわー、まじでヤった直後っぽいねー。キミらほんとにラブラブだねー。もうさーキミらヤってることいろんな人にバレてるからねー。」
「別に隠してないもんなっ!!」
というのは嘘で、実はクラスの奴らには隠したかったけど、どうやらそれも最近では無理そうで、俺は開き直ることにして、隣に座るるいにそう声をかける。
「ん?まあ。隠すもくそも別に知られたからってどうってことないはなしだろ。」
「…矢田会長に憧れていた生徒が揃ってショック受けてますけどね。」
「は?なにがショックなわけ?」
「…矢田会長に抱かれたい願望あった子多いんですよ。俺のクラスでもいましたし。」
「……はあ?なんだそれ。」
るいは古澤くんの話に意味が分からなさそうに眉を顰めた。が、まあ意味が分からないのはるいだけだろう。
仁も「あーうんうん。」と頷いている。
そんな会話の中るいは俺にチラリと目を向け、この場でそれ言うか!?と、るいはあっと驚くことを言ってきたから、俺はそれはもう顔面がこれでもかというほど熱くなってしまった。
「だいたい抱かれたい願望ってなんだよ気持ちわりぃな。俺だって航しか抱きたくないから。」
そう言ったるいは、澄ました顔で白ご飯を食べている。
「…はー、ごちそうさまー…俺お腹いっぱいだわー…。」
「あー…だろうねーいいよーそのからあげ俺が食べてあげるよー。」
「は?お前もうお腹膨れたの?全然食べてねえじゃん。」
「キミが恥ずかしくなること言ってくるから俺もうお腹いっぱいなんですよ。はい、仁くんあーん。」
「えっまじでくれんの!?やった!あー…えぇぇ!?ちょっとるいー邪魔すんなよー!!」
仁に向かって伸ばした箸で挟んだからあげを、隣からるいがあむっと食べてしまった。
そしてるいの箸で挟んだからあげを、俺の口の中に強引に突っ込んでくる。
「はいいっぱい食って。体力つけて。明日は休みだから。…な?」
るいはそう言って、にっこり満面の笑みを浮かべた。
「『…な?』ってなんだよ。言っとくけど今日ヤったから明日はヤらねえぞ。」
「おぉ…、俺矢田会長のこんなに笑ってるところはじめて見ました。」
「あー…そー?友岡くんといるときだいたいこんな感じだよ。あいつすげえキモいよな。」
「…そうなんですね。え、いやキモいって…!仁先輩、そんなこと言っちゃ怒られますって!」
「えー、でも航くん次の休みにって言ってくれなかった?」
「言ったけどそれはもう今日済ませたから明日はヤらねえよ!」
「えー航くんおねがいー。」
「……や、やっぱりキモいっすね。」
「だろ?大丈夫だよ、今友岡くんに夢中でるいには聞こえてないから。」
「仁と古澤あとで覚えてろ。」
「「………!!!!!」」
るいは突然、仁と古澤くんをギロリと睨みつけた。るいに睨みつけられた2人は、瞬時にビクリと肩が跳ね上がる。
「…じ、仁先輩のうそつきっ…!」
「ご、ごめ、ごめん…!」
2人は顔面を青くしながら、残りの夕飯をさらえていた。
「るいがさ、おねだりする感じで喋るとすげえキモい」
「えー航くんひどー。」
「「(このカップル爆ぜろ…!)」」
28. 欲求不満なわけがない おわり
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