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翌朝、航はガニ股で俺の隣を歩いていた。


「……お尻むずむずするの?」

「うん。誰かさんの所為でな。」

「……。」


ジト目で見られて、返答に困る。

とりあえずなでなで、と航の尻をズボンの上から撫でてみると、航はほんのりと頬を赤く染めた。


「撫でられたら余計むずむずするわいっ!」

「あ。わりぃ。」

「俺をお姫様抱っこしろ!!」

「あっはい。」

「嘘に決まってんだろ!!」

「……。」


素直に航の言うことに頷いているものの、航は俺に口調を荒げて話してくる。

どうやらえっちするにあたって航に対してNGなことは、激しいピストンのようだ。そうは言っても、初めての時より全然昨晩の航は元気そうだったから、少しずつ慣れていってはくれないだろうか、と思うけど。


「あとあの体勢はもう絶対ダメ。」

「ん?あの体勢?」

「俺が座ってするやつ。」

「ああ。あれ超よかった。俺好き。」

「だめっ!!だめだからな!!」


航は念を入れるように言ってきたが、それには頷けねえな。だってあの体位はすごく気に入ってしまったのだ。


「あと後ろから突くのもだめっ!!」

「ダメなこと多いな。何ならいいんだ?」

「俺もコンドームをつけること。」

「いきなりコンドームの話かよ。」


この子はどうやらコンドームに関する関心がとても高いようで。そんな話題になった時、ひょっこりと俺と航のあいだに、仁が姿を現した。


「えっコンドームがなになに!?つか、なに朝っぱらからえっちなおはなししちゃってるわけ!?」

「来んな。お前帰れ。」


ウザい絡み方を仁にされてしまい、俺は持っていた鞄で仁の頭を殴りつけた。しかし仁はへこたれることなく俺と距離をとり、航の隣に行ってしまう。


「えっちする時、るいだけコンドームつけるのはズルイよな?」

「え?そう?エッチは生のが気持ちいらしいけど??え、てか友岡くんまたるいとヤったの?」

「うん。1年分くらいのえっちした。もう暫くはえっちしない。」


航の発言に俺は『冗談だろ?』という目で見ていると、「友岡くーんお隣に不満そうな顔をしているお方が居られますけどー」という仁のツッコミが入った。

そんな仁のツッコミに、航は俺へと視線を向ける。


「精々3日分くらいだろ。」

「とりあえず1ヶ月はヤんねえ。」

「お前そんなに保つの?」

「なにが?」

「それで1人こそこそオナニーしてたら怒るからな?」

「ゃ、やんねえから!」


航は真っ赤な顔で頷いた。


「…うわー、生々しい会話…。朝っぱらから聞く話じゃなかった。」

「もっと生々しい話聞かせてやろうか?この人、俺がもう無理だって言ってんのに体勢変えてヤりはじめるから。ひどいと思わねえ?」

「友岡くん、るいの体力舐めちゃだめだよ。この人体育でマラソンしたあとでも涼しい顔してるんだから。」

「あっ!いや!でもちょっと待てよ?昨日はヤり終わった後くたばってたぞ!るい体力落ちたんじゃねえの!?」

「そうだなあと1ラウンドはできるようにお互い鍛えような。」

「…あっ…いや、…結構ですよ。」


自分から俺の体力が落ちたんじゃねえのとか言ってきたクセに、俺の発言で航は焦った表情を浮かべたから、俺はニヤリと笑って航に迫った。


「さっそく今晩続きする?」

「いやむりむり!」

「だってほら、昨日は俺がくたばっちゃったから。」

「…もっと早くくたばってくれてもよろしくてよ。」

「え〜?そしたら航くんのこと満足にしてあげらんないじゃん。」


航に迫り、腰に腕を回して、片手を航の尻の割れ目をなぞるようにズボンの上から触れながら、トン、と壁に航の身体を追い込むと、航は「いやいやいやいや」と首を振った。


「るい、そろそろみんな見てるからやめた方がいい。」


そして仁に冷静なツッコミを入れられる。

「は?」と顔を上げると、そこはもう食堂の出入り口付近で、周囲にいた生徒たちがまじまじと俺たちの様子を窺っていた。


しれっと航の身体から手を離し、何食わぬ顔で食堂に足を進める。


「仁くんあの人なんとかして。」

「ごめん無理。」


こそこそと航と仁の会話が聞こえてきたが、俺は素知らぬふりをした。





「航、今朝矢田くんに迫られてたらしいな?なんかショックで泣いてた奴居たらしいぞ。」


俺が登校してきて早々、クラスメイトはそんな話題を俺に振ってきた。


「は?いやいや泣きたいのは俺の方。」

「は?なんで?」

「連日でえっちされたら俺の尻が死ぬ。」

「え?航矢田くんとエッチしたの?」

「…あっ、いや…。」


いよいよ航とるいのえっち事情が、人々に知れ渡りはじめたのだった。


26.航とるいのえっち事情 おわり

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【 航からのオーケーサインが出るまでの流れ 】


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