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「えー次、【 宇野会長が怖い 】怖くありません。【 ヤンキーが生徒会長で良いんですか? 】ヤンキーでは無いんで良いんです。【 今年の生徒会大丈夫? 】それは俺もちょっと思う。【 クラスメイトにいじめられていて学校に行くのが辛いです 】……………、」


なかなか減らない目安箱の中身に痺れを切らした宇野会長は、立て続けに紙に書かれた内容を読み上げた。

しかし、4枚目に引いた紙には暗い内容が書かれており、宇野会長はそこで言葉を詰まらせる。


これは僕も中身の確認をしていた時に戸惑った内容だ。自分だったらどう答えよう、と考えてみたけど、何て答えるのが正解なのか僕には分からなかった。


僕は、宇野会長が何て答えるのか少し興味があり、ジッとその横顔を見つめる。


「…いじめ、なぁ。何が楽しくていじめるんだ?相手のびくびくしてる顔?逆らえないようにして痛ぶるのが快感とか?俺には理解不能なんでーいっぺんいじめ返してやるから学年クラス名前教えろ「ん゛ん゛っんん。」………あー、えーと…何事にも理解するには同じ目に遭って見るのが一番なんでね。自分がもし相手の立場になったら、と一度物事をよく考えてみましょう。」


宇野会長…綺麗な言葉で締めた感じだけど途中ヤンキーオーラ凄い出てたし生徒会顧問も咳払いして必死だった…。


少しシーンとなっている中、豪くんが空気を変えるように目安箱に手を突っ込み、「次行きまーす。」と宇野会長から受け取ったマイクを手に持ち口を開いた。


「【 春川先輩かっこいい 】そうですか。」

「ぶはは!!!さんきゅべりまち!」

「うわっもう僕の番!?【 春川宇野の会話がいつ聞いても卑猥 】…もうやだぁ〜パス〜!!!」


僕は早々と自分に回ってきたマイクをぐいっと春川先輩に押し付けた。


「いつも俺らの会話聞いてくれてサンキュ。」


ウインクしながらマイクに向かって囁くような声を出し、チュッとリップ音を響かせた。そんな春川先輩に、生徒会顧問も呆れ顔だ。


その後も続いたバカみたいな内容と返答に、生徒からは笑われまくりの生徒総会。こんなのが生徒総会でいいの?って思うけど、舞台下に広がっている生徒たちの元気な笑い声と、呆れながらもクスッと吹き出している教師。明るい学校の風景に、まあこんなのも悪くないのかもって少しプラスに捉えてみる。


目安箱の中身もいよいよ残り1枚となり、最後の1枚は宇野会長が引き、読み上げた。


「じゃ、最後。【 ヤンキーな宇野会長に犯されたい 】…………、」


最後の最後に残ってしまった恥ずかしい内容が書かれた内容を自ら読み上げた宇野会長は、頬をヒクリと引き攣らせながら黙り込んだ。


「ブハッ」


そしてその隣では吹き出す春川先輩に、シーンと辺りが静まり返ってしまった舞台下。この空気なんとかしろ、と言いた気に教師達が咳払いをして宇野会長に視線を送っている。


「いやあの、だから…。ヤンキーじゃねえっつってんだろ!!!」


ヤンキーヤンキーと言われ続けてとうとう我慢しきれなかったかのように、宇野会長が啖呵を切った。

その姿が正にもう………、あっ、いや…申し訳なくてこの先は言えません。

シーンと静かなままの空間で、クククと笑う春川先輩を横目に、宇野会長がとっとと生徒総会の締めに取り掛かる。


「はい、じゃあその他意見質問無かったら終わるんで。」


そう言って、暫し生徒たちの反応を窺ったあと、宇野会長は「はい、そんじゃ終わり。」とさっさと生徒総会を終わらせた。


かつてないほどの緩さで終わった生徒総会。

こんな感じで終わって良いのか!?生徒会!と僕はこの先のことを考えたら少し不安になってしまったが、その後の生徒たちは楽しそうに生徒総会のことについてあれこれ喋っていたから、『ま、いっか。』と僕もあまり深く考えないことにした。


そして、この生徒総会により宇野会長は、『隠しきれないヤンキー臭を必死で隠す宇野会長』というレッテルが貼られてしまうのだった。

勿論、ヤンキー会長に喧嘩を売る生徒は居らず、学内はそこそこ平和である。


これでいいのか生徒会 おわり

2020.12.11〜2021.03.01
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