むぅ 2 [ 31/163 ]
むぅちゃんが魔法で擬人化する話も読んでみたいです より
◇ 登場人物
猫ちゃんに首輪:むぅ / 倉持 晴 / 桐谷 寛人
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「ハル、今日もオレのところに会いに来てくれてありがと。」
放課後、いつものように校舎裏へ行けば、見知らぬ少年がそこにいた。
「…え?誰?」
茶色の猫っ毛が特徴的で、前髪で顔は良く分からない。俺の知ってる人…?
俺は、その少年の近くに歩み寄る。
「ハルの体温はとても心地良くてオレだいすき。」
「うわっ!ちょっと!!!」
少年の前まで歩み寄ると、少年は突然俺の身体に手を伸ばして抱きついてきたから、俺はアタフタと慌てふためく。
「ハル、ハル。ハルもオレのことだいすきだろ?オレもハルがだいすき。」
「えぇっ!わっ!!!」
この少年は、俺の身体に触れながら、ペロリと俺の頬を舐めてきたから、俺は更に慌てふためく。
「待って!?落ち着こ!?キミは誰!?」
「……え?ハル、オレのことがわかんないの?いつもあんなにたくさんの愛情をオレに向けてくれるのに…」
少年は俺の問いかけに、落ち込んだ様子を見せてくる。
「えぇっ、…俺はその…、好きな人がいるから…誰かの間違いじゃ…?」
「ううん、間違いなんかじゃないよ、ハルは俺のことがだいすき」
「うわわわ待って待ってだめだって!!!」
少年は更に俺に身体を寄せて、俺の頬に唇を押し付けてくる。
やばい、やばいって!
こんなところもし寛人に見られたら…!
慌ててグイッと少年を引き離そうとしていたとき、
「晴!」
ああやばい!寛人が来てしまった!!!
「違う!違うんだよ!俺は寛人が好きで!寛人のことが大好きだから!ごめんこれは多分何かの間違いだと思うんだよ!??……あれ?」
寛人に見られて、慌てて言い訳をペラペラ口にした瞬間、俺はふと違和感を感じた。
「にゃー…」
聞き覚えのある鳴き声と共に、俺の視界には俺の腹の上に乗っかって、ペロリと頬を舐めてくるむぅちゃんが。
そして、チラリと見上げると寛人が目を丸くして驚いた顔をしながら俺を見下ろしている。
「あ…れ?夢、かな?あはは?」
「にゃー」
俺の言葉に頷くように、むぅちゃんが鳴き声を漏らす。
「おいおい、なんだよ今の慌てた声は。晴どんな夢見てたんだ?」
笑い混じりに俺の側に腰を下ろした寛人が、むぅちゃんの頭にそっと手を伸ばす。
「にゃー…」
スッと目を細めて気持ち良さそうに目を細めたむぅちゃんを見ながら、先程見た夢を思い返す。
『オレもハルがだいすき』
そっか、あの少年は俺が描く人間の姿をしたむぅちゃんだ。
俺は、夢の中でむぅちゃんに言われたことが嬉しくなって、クスリと笑みが漏れる。
「むぅちゃんといちゃいちゃしてる夢見た。」
「ぁあん?」
「むぅちゃん俺のこと好きだって。」
夢の中で言われたことは、まるでむぅちゃんがほんとうにそう言ってくれてるみたいでとても嬉しい。
「むぅちゃん俺も好きだよぉ〜ん!」
だからむぅちゃんの身体を持ち上げて万歳しながら想いを叫ぶ。
すると、隣に座った寛人が「相変わらずむぅばっかずるいぞ。」と不満を漏らしているから、俺はチラリと寛人に視線を向け、こっちにも想いを伝えた。
「寛人のことは大大大好きだぞ?」
俺の言葉に寛人は、むぅちゃんごと俺のことを抱き締めてきた。
「にゃー」
むぅちゃんはスルッと俺の腕の中から抜け出した。
『オレは昼寝をするから、あとは2人で仲良くね』
むぅちゃんは校舎裏の奥へ歩いて言ったけど、なんとなくむぅちゃんはそう言っている気がした。
勝手な俺の想像だけど。
おわり
むぅちゃん擬人化!ちょっとだけ書いてみました!晴の夢の中ですが…|・ω・`)
むぅちゃん擬人化したら寛人が大ピンチってことに気づいてしまいました…。この子ら多分普通にチューとかしちゃいます。笑
ってことでこのへんで!
投票ありがとうございましたー!
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