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「お、もしやお二人もおデートかい。」

「う、うん。…まあね。」


振り返ってきた2人により、正面から見えてしまった航くんと矢田先輩の繋がれた手に目がいってしまい仕方ない。


「いいなぁお前ら、すっげー堂々とイチャつきながら歩いてんなぁ。」


寛人が羨ましそうにそう言って、なにか言いたげに俺に視線を向けてくる。


「えーそんなにイチャついてねえっすよー。なーるいー?」

「なー。」


………えー。

十分イチャついてるんですけどー…

これ以上2人を前にしていると寛人がどんどん羨ましがっちゃいそうで、俺はなんとなく何か話題を探して2人に問いかけた。


「2人はなんか買いに来たの?」

「おー、パンツパンツ。」

「えっパンツ!?!?」

「あとまあいろいろ?」


航くんから返ってきた返事がまさかのパンツだったから、俺はギョッと目を見開いた。


「パンツって…なんだ、お二人はもうヤっちゃってる感じか?」

「「うん。」」


今度は寛人の問いかけに、揃って頷く航くんと矢田先輩。

やっちゃってるってなんの話?


疑問に思っていると、寛人は「…まじか。」と額に手を当て何故か凹んでいる。


「寛人なにいきなり凹んでんだ?」

「晴…俺らもパンツ買いに行こうぜ…」

「えぇ、パンツ足りてるから。」

「晴ケツちっちゃそうだから残念ながら桐谷先輩と2枚組セット分けらんねえなあ!」

「……え、なにそれどういう意味?」


突然航くんにニシシと笑って言われたことに、意味がわからなくて首を傾げた。

すると寛人が「おいこら、俺のケツはでけえって言いてえのか!?」と何故か寛人は怒っている。


「ああーっすんませんすんません!冗談です!!!」


怒る寛人に、航くんはサッと矢田先輩の後ろに隠れる。


「ったく、こっちは欲求不満で悩みまくってるっつーのにケツの話してきやがって。」

「……桐谷先輩欲求不満なんですか。」

「そうそう、この子純真無垢すぎて。」

「…あー…なんかそんな感じします。」


向かいあった寛人と矢田先輩で、なにやら会話をはじめてしまった。

何故か同情したような目で寛人を見る矢田先輩。


「あとなかなか触らせてくれない。」

「………うわ、つら。」


同情した目で寛人を見た後、矢田先輩の視線が俺へ向く。


「え、ちょっと待って、なんか俺悪いことしたっけ!?」


なんだかよく分かんねえ空気の中で2人に向かって問いかけると、矢田先輩の背後からサッと出てきた航先輩が、意気揚々と会話に加わってきた。


「パンツ買え!パンツ!おそろのパンツ!」

「いや意味分かんねえよ!!!なんでパンツなんだよ!?」


さっきからパンツパンツって!


わけわからなすぎて困惑している俺に、航先輩はコソッと俺の耳元に口を寄せてきた。


「パンツおそろいだともっとらびゅらびゅになれた気がするから。」


そして、そんなことを言ってきた航くんに、俺の顔面はカッカと熱くなった。


えっ、パンツおそろいではくってか!?

ちょっとその考えは頭になかったっつーか…

えっ寛人とおそろいのパンツってか!?


俺は想像しただけで顔が熱くなっていき。


「おいおい航くん晴になに言った。」


顔面真っ赤であろう俺を見た寛人が、航くんに問いかける。


しかし航くんは「べっつに〜」と言いながら、矢田先輩の腕に両腕を絡ませた。


2人はほんとうにラブラブで。


「じゃ、また会う日まで〜」


と俺たちに手を振りながら立ち去っていった。


2人のあまりにラブラブな様子に、感化されてしまったって言ったら悔しいけど…


「なぁ、まじで航くんになに言われた?」


そう言って俺の顔を覗き込む寛人に、俺は唐突に「チュッ」と軽く触れるだけのキスをした。


そして、寛人の手に指を絡めて、


「パンツ!買いに行こう…っ!!!」


熱い顔で、グイグイと寛人の手を引っ張った。


「お?お?一体何が起こった!?」


寛人はそんな俺を見て、不思議そうにしながらも、とても嬉しそうだった。


パンツ買いに行こう! おわり

2016/02/29〜04/05
拍手ありがとうございました!

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