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咲田がオムライスを作っている間暇だった俺は、咲田の部屋にある本棚を物色してみる。


本棚にはCDも並んでおり、そこで見つけたのが、俺が好きなバンドのCDアルバムだった。


「うっわ、これ新作だし…!」


俺が買おうと思って買えずにいた新作のアルバム。

そのCDアルバムを見つけていてもたってもいられなくなった俺は、台所で料理する咲田の元へと駆け寄った。


「なあなあ咲田、これ貸して!」


俺の声に少し驚いたように、料理をしていた咲田が振り返った。


「え、いいけど…もしかして早見くんもそのバンド好き?」

「うん。めっちゃ好き。」

「わあ…!やったぁ!俺も好きなんだよ!!」

「あんま人気ねぇよな、いい歌多いのに。」

「うん、だよな。わー、すごい偶然、ほんとに嬉しい!他にもなんかあったら貸すから言って!」

「おー、サンキュー!」


咲田に礼を言い、俺は再び咲田の部屋のCDを手に取る。

アルバムだけでなく、シングルCDまでもがそこには並んでいて、咲田が本当にそのバンドが好きなんだと感じて俺もちょっと嬉しくなった。


その数分後にはオムライスが出来たようで、共同部屋にある小さな机には、いい匂いを漂わせたオムライスと、ご丁寧にお茶が入ったグラスまで並べてくれている。


「おお、うまそー。」

「口に合うかわかんねぇけど…」

「大丈夫だって、弁当もうめぇからこれもうめぇよ。」


俺のその褒め言葉に、咲田は頬を赤くして照れていた。

咲田って、褒められるの慣れてそうなのに、結構照れ屋なのだろうか。


美形なだけあって、笑った顔は勿論のこと、照れた顔も絵になる。


共学校だったらモテモテだっただろう…と思ったが、そうだ。こいつはここでもモテモテなんだった。


「いただきます。」と手を合わせてオムライスに手を付ける。

思ったとおりそのオムライスは美味しくて、「美味い」と感想を述べれば、また嬉しそうに咲田は満面の笑みを浮かべていた。


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