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咲田と初めて昼食を共にした翌日。
咲田は宣言通りプチトマトを多めに入れてきてくれたようで、赤いプチトマトが3つ並んだ弁当を俺の前に広げた。
「それ、早見くん用だから良かったらどうぞ。」
そう言って2個目の弁当箱を俺の前に差し出してくれた咲田に驚いた。
「え、まじで?いいの?」
「うん。」
「うわ、想ずりー。」
冬真が不満そうに俺を見る。
そうは言われてもこのプチトマトが入った弁当は俺のものだ。冬真にはやらん。と少し冬馬から弁当箱を遠ざけた。
「やった〜。んじゃ、ありがたく。いただきます。」
いつもはあまりしない合掌をして、咲田お手製の弁当に手をつけた。
「…味、大丈夫…?」
なんでそんなに不安げなのか、自信なさげに聞いてくる咲田。
「うん、美味い。まじサンキュー。」
「よかったー…。」
咲田がホッと息を吐いた。
そんなに自信がなかったのだろうか。
安心したように咲田も弁当を食べ始めた。
*
こうして、最初はありがたく弁当をもらっていた俺だったが、それからというもの咲田は毎日俺の分の弁当を作ってくれて、さすがに申し訳なくなってきた頃。
「なんか、そろそろきつくね?大丈夫?」
「え、なにが?」
俺の問いかけに、不思議そうに首を傾げる咲田。
「や、弁当。毎日はさすがに…材料費もかかるだろうし…。」
「…あ…ごめん、やっぱり迷惑だった?」
「じゃなくて、お前が。」
「俺?」
キョトンとした顔で疑問符を浮かべる咲田。
「俺…は…寧ろ、食べてもらえて嬉しいんだけど…あ、逆に気ぃ使わせた?」
…逆に気ぃ使わせた?って…
こいつ、お人好しすぎにもほどがある。
気ぃ使った俺に咲田が気ぃ使ってどうすんだ。
「…咲田が良いんなら俺はありがたく貰うけど。」
「うん。俺が好きで作ってるから。」
満面の笑みでそう言われて、俺は何も言えなくなった。
「なんかおもしろくねー。」
「なにが?」
最近、昼食時間が終わり咲田が帰ると、冬真は不機嫌そうな顔をする。
「想まじうぜー。」
「は?なんでだよ!」
いきなりうぜーってなんだ、理不尽すぎる。
なににしろ、不機嫌な冬真はめんどくさいから放置するのが1番なのだが。
「バカだしアホだし、鈍感だしまじイラつくわー。」
「は?意味不明。俺なんかしたかよ?」
「べっつにー。」
口尖らせて、小さい子供のように拗ねている冬真。
わけわからんからもうこいつは放置だ。
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