肝試しですよ一部集合
夏だ!花火だ!肝試しだ!(完結)

リリスティア
「肝試し……?」

詩帆
「あら、陛下はご存知ありませんの?」

リリスティア
「……初めて聞いた。その、肝試しとは何をするものなんだ?」

弥一
「へえー。知らないんだ。ほら、妖怪や幽霊に模した建物の中を歩いて、出口を目指したり……」

久世
「いわくつきの場所を練り歩き、歩いた証にろうそくを立てて戻ってきたりしますね」

リリスティア
「そんなことをしてどうなるんだ?」

詩帆
「ですから、「肝試し」。度胸を試すんですのよ」

リリスティア
「……その、妖怪とか幽霊というものは、あの悪魔と呼ばれる異形よりも恐ろしいものなのか?」

久世&詩帆&弥一
「………………」

リリスティア
「幽霊というものが、死者の魂のようなものの成れの果てであることは知っているけど、怖いものなの……か……?」

久世&詩帆&弥一
「………………………………」




弥一
「……そういえば、リュシアナには妖怪や幽霊の話は無いか」

詩帆
「妖怪は悪魔、幽霊も……悪魔に数えてそうですものね」

久世
「呪いや祟りも悪魔の所為。そう考えるとリュシアナの国民洗脳は実によく出来ていますね」

弥一
「……ちょっと、怖がらせたいかも」

詩帆
「この方が怖いと思うものって思いつきませんわよねえ」

弥一
「怖がっているところが想像できねーよな……」

久世
「…………へえ」

弥一
「…………ふーん」

詩帆
「……あらあら」

リリスティア
「…………な、何?」









*********









レオン
「――――へーえ、肝試しデスか」

リリスティア
「……何故か、することになったらしい……。それで、その」

レオン
「どうせ城の地下通路とかを貸してほしいとかなんとか言われたんデショ」

リリスティア
「…………いや、その……うん」

レオン
「別にいいデスよ。後片付けさえちゃんとしてくれれば」

リリスティア
「いいのか?」

レオン
「ハイ。地下には、俺の師匠が敵を拷問していたぶった監獄とか、あと忘れたままになっている罪人の屍とかあるかもしれマセンが、彼女たちなら怖くないデショ」

リリスティア
「だが腐臭は大丈夫か? 防塵マスクを渡したほうがいいかな」

レオン
「……なんとまあ」

リリスティア
「ん?」

レオン
(なるほど……彼女たちの目的が読めマシたよ)

リリスティア
「レオン?」

レオン
「ああ、なんでもないデス。しかし、肝試しなんておもしろそうデスねー。俺も参加してみマショーかね」

リリスティア
「お前まで参加したら仕事は……」

レオン
「何言ってるんデスか陛下」

リリスティア
「え?」

レオン
「肝試しは……真夜中にやるもんデスよ……。フッフッフッフッフッ……」

リリスティア
「………………夜中…………?」





*********









ヒル
「――――なるほど、そういう事か。それで、こんな真夜中に、国の幹部が雁首揃えて地下に集まったわけだな」

ベリー
「ヒル様おっつおつ〜!」

ヒル
「お疲れ様、ベリー」

レオン
「まあまあいいじゃないデスかヒル君。どうせ夜中なんて暇デショ? いっつも朝方まで起きてるくせに」

ベリー
「朝方まで何してんの〜?」

ヒル
「……秘密」

ベリー
「ヒル様って隠し事する時、すっごい色気ある顔で笑うよね〜……ちょっと照れる」

ライザー
「っつーかよ、肝試しって、東の子供の遊びなんだろ? どういうことするんだ?」

結苑
「あの、今日はこの地下通路の一番奥まで行って……そこに蝋燭を立てて帰ってくるらしいです」

ライザー
「それだけかよ」

結苑
「怖くないんですか?」

ライザー
「置いてくるだけなんだろ?」

結苑
「で、でも、脅かし役には詩帆さんたちが……」

ライザー
「どーせいきなり飛び出てくるとかだろ?」

結苑
「…………えっと、その」


「すまない……。御庭番の馬鹿どもがウェラーが不在なのをいいことに……」

ヒル
「いや、構わない。たまにはこうやって、何気なく集まるのも、良い交流になるだろう」


「そう言って貰えるなら……」

アメリ
「お父様、レオン軍師が良いと仰っているのですから良いのでは?」


「お前も参加するのか?」

アメリ
「はい。弥一に誘われて。面白そうではありませんか。軍師が快く許可を下さったのですから、たまにはよろしいかと」



(また弥一…………)


アメリ
「それに、別に大蛇や大蛇や大蛇が出るわけではありませんでしょう?ね?出ませんわよ。絶対。ね??


「あ、ああ」

レオン
(ああ……北東のあれで蛇嫌いになったんデスねアメリ姫……)

ヒル
「参加するのはこれくらいか?」

ベリー
「おっかしいな〜。リリムも来るって言ってたんだけど」

ユア
「ごめんなさい皆さん! リリスティアさん連れてきたよ!」

リリスティア
「すまない、遅れた」

カイム
「こんな辛気臭いところで何をする気かは知らんが、俺まで呼ぶとはどういうことだ?」

レオン
「うわ、すんごい不機嫌じゃないデスか。誰デスか呼んだの」


久世
「私です」
(天井から逆さまに出現)


ライザー
「うおぉっ!?」

結苑
「きゃあああ!!」


リリスティア
「…………久世」

久世
「あれ、驚いたの二人だけですか。これはなかなか手強そうですね」

ベリー
「ライザーってば、結構本気でびっくりしてたでしょ〜」

ライザー
「いきなりこんな格好でこいつが出てきたらびびるわ!」

レオン
「大丈夫デスか? 結苑ちゃん」

結苑
「は、はい……」

リリスティア
「……こういう変なことには大体お前が噛んでいるな」

久世
「皆様の夢を叶えるのが私の第二の仕事ですから。あ、皆様ではなくこの向こう側の皆様です」

アメリ
「それはそうとして、呼んでいるのはこれだけ?」

久世
「はい。いい具合に分かれるでしょう」

結苑
「十人…………あ、もしかして……二人一組の肝試しですか?」

久世
「はい」

リリスティア
「察しがいいな、結苑」

結苑
「昔随分、久世さんたちと肝試しをしましたから……。その度に死ぬほど怖い思いをしました」

リリスティア
「そんなに怖いのか? 肝試しは」

結苑
「陛下っ! 久世さんの肝試しは本当にですよっ!? も、もう、なんていうか! この世界に日の出なんてないんじゃないかってくらいの絶望が襲ってくるんです!! 私なんてこの恐怖がずっと続くくらいならいっそ消えてしまいたいって思いました……」

ライザー
「え……」

リリスティア
「は……」

ベリー
「そ、そんなに……?」


「お前、新羅の大事な娘に何をして……」

久世
「結苑様は少し大げさですよね。アメリ姫」

アメリ
「なんとも言えませんわ。怖いのは間違っていませんもの」

リリスティア
「(あのアメリまで怖いと言わせるなんて。肝試しとは一体どんな過酷な精神訓練なんだ……)」


ライザー
「…………」

レオン
「おや、ライザー君。急に静かになりマシたね」

ライザー
「べっつに。あれだろ。きめえ被り物とかして出てくるだけだろ」

ヒル
「手を握って歩いてやろうか?(笑)」

ライザー
「気持ちの悪いこと言ってんじゃねえよ!」

ユア
「とても楽しそうね。どんな仕掛けがあるのかしら」

リリスティア
「ユアは平気みたいだな。意外だけど」

ユア
「ええ。だって、人間のやることの方が怖いでしょう?

レオン
「い、いやまあ、そうデスかね」

リリスティア
「そ、そうね……」


久世
「では皆さん、そろそろ煌竜王陛下が場に飽きてきているので、肝試しを始めましょう。ルールは至ってセオリーでスタンダード。この地下通路の最奥まで行って、今から配る蝋燭を立ててきてください。道はそう複雑ではありませんので、迷うこともないでしょう」

リリスティア
「二人一組で行くと言ったわね。それはどうするんだ?」

久世
「そこは勝手ながら、こちらでより面白……いえ、厳正な抽選の上決めさせて頂きました」

レオン
「あっはは。不正の臭いしかしマセンねえ」

久世
「それでは、組み合わせはこんな感じでお願いします」





一組目:ライザー&ベリー
二組目:レオン&結苑
三組目:昴&アメリ
四組目:カイム&ユア
五組目:ヒルシュフェルト&リリスティア





ベリー
「ライザーとだあ!」

結苑
(わああああああああ!!!!軍師と軍師と軍師と!?どどどどどどどうしよう!!!嬉しいのか困るのか分かんない!!)

レオン
「おやおや」

ユア
「カイムとね。よろしくカイム」

カイム
「ふん」


「…………」

アメリ
「あら、お父様とですのね」


「何故少しため息をつくんだ……」

リリスティア
「一体どういう組み合わせなんだ? 顔見知りで固めたのか」

ヒル
「…………」

久世
「…………」

ヒル
(  よ  く  や  っ  た  )

久世
(  ゆ  っ  く  り  し  て  き  て  ね  ! そして特別ボーナスお願いします)



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