ヒルver
眠れる森の●●(完結)


眠れる森の美女?〜ヒルED〜





「さて、本当にこの部屋にいるのかどうかだが」


ヒル王子は颯爽とドアノブを回し、中へと入りました。
部屋の中はかなり暗くしんとしていました。しかしよく見ると、部屋の奧に天蓋付きの豪華なベッドが置かれていました。


「あれか…?」

ヒル王子は警戒しながらも、そのベッドに向かって歩んでいきました。
そして、そっと天蓋の布をめくり、中で寝ている人物を確認すると……


彼の周りには花が咲き誇りました。





「リリスティア…………」

そこにいたのは、リリスティアでした。プリンセス・リリスティアはとても美しく、ヒル王子は一目で恋に落ちました。プリンセス・リリスティアの眉間に皺が寄っているのは気のせいだと思います。


「よく眠っているな…………」


ヒル王子はプリンセス・リリスティアをまじまじと見つめました。ここぞとばかりに見つめています。何故なら、本編ではそんなにゆっくりと、舐めるようにプリンセス・リリスティアを観賞する機会が少ないからです。やはり、プリンセス・リリスティアの眉間には皺が寄っていますが、気のせいでしょう。

「………大分、髪が伸びたな」

ヒル王子がそっと髪を撫でると、プリンセス・リリスティアがぴくりと動きました。

「起きたのか?」

しかし、変なところ真面目なプリンセス・リリスティアは、眠り姫の役を完遂する為に何も答えません。

「さて、姫を目覚めさせるには口付けしかないわけだが…」


ヒル王子はちらりとライザー王子達を見ました。まるでお前ら邪魔といわんばかりの目をしていました。ライザー王子とレイム王子は、まだ死にたくはないので部屋を後にしました。
邪魔者を退散させたところで、ヒル王子はプリンセス・リリスティアに覆いかぶさるようにベッドに乗りました。ギシ、とベッドが軋む音がしたことで、プリンセス・リリスティアは少し怖くなりました。

プリンセス・リリスティア………

甘く、愛しそうに、ヒル王子は声をかけます。
そして、ヒル王子がプリンセス・リリスティアの顔に一層近づいた瞬間────


「……ッ、待て!!」


恥ずかしさに耐え切れず、プリンセス・リリスティアが目を開けてしまいました。


「…………まだ起きるところじゃないぞ?」

「む…無理…私には無理よ…」 

プリンセス・リリスティアの顔はかなり赤くなっていました。


「お芝居だ。気にすることはないさ」

「………たとえ芝居でも…こういうのは…………、嫌だ……」

「じゃあ………どういうのならいいんだ?」


するとヒル王子は、プリンセス・リリスティアをぐいと起き上がらせ、胸に抱き寄せました。

「ヒ……」

「お互いこうやって、見つめあってする方がいいか?」

「そういうことじゃない!大体お前………芝居なら誰にでもそういうことをするの?」

「まさか。プリンセス・リリスティア。貴方でなければ、俺は助ける気すら起きません。もちろん、口付ける気も。………どうか、その唇でご命令下さい。口付けよ、と………


その一言に、プリンセス・リリスティアは観念するしかありませんでした。
というか、逆らったところでどうにもならないと悟ったのです。



──そして、王子さまはお姫さまに優しくキスをしました。
すると、お城の呪いはみるみるうちに解けていきました。


そして二人は、末長く幸せに暮らしましたとさ。

めでたし、めでたし。




*舞台裏*

久世
ぐっじょぶ!ぐっじょぶです陛下!!総指揮官!!これは永久保存です」

ライザー
「て、テンション高ェな………」

リリスティア
「あんな台詞は台本に無かったぞ!?」

ヒル
「いいアドリブをするのが、いい役者というものさ」

久世
「本音だだもれといった感じでしたが、まあよしとしましょう」

リリスティア
「あと、なんで私だけ「プリンセス・リリスティア」なんて呼び方なんだ」

久世
「リリスティア姫って語呂が悪いので。………はっ、クイーン・リリスティアという呼び方も良いですね」

ヒル
「ああ、その方がみなぎるな(爽笑)」

リリスティア
「もう好きにしなさい………」

END


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