21話
あれから数日後、バラティエにも大分慣れたらしいパティとカルネの接客を見守ってから俺は客たちが食べた後の皿を厨房へと運ぼうと通路を歩いていた。
「〜だから!〜るんだ!!!」
『ん?』
通路をカートを引きながら歩いていると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
あの声はサンジ兄?
聞こえてくる声は何だか必死なようななにかを訴えているように聞こえる。
『?』
どうしたんだ?と厨房を除き混んだ俺の耳に入ってきたのはサンジ兄とコック達の会話だった。
「おいおい、そんなもん信じてんのかよ!信じるだけ損するだけだぜ?サンジ。そんなもんあるわけねえんだからな」
「何でそんなこと言えるんだよ!!」
「そりゃぁ、お前、あんなもんがありゃぁ皆がこぞってほっとくわけねえからだよ、だからそんなもんはねえのさ、なぁ?」
「ああ、あるわけねえな」
うなずくコック達にサンジ兄はぐっと掌を握った。
「あるったら、あるんだ!」
「はい、はい」
「〜!ぜったい……絶対オールブルーはあるんだからな!!?」
バンッ
そう叫び厨房の扉を叩くように開け放ったサンジ兄は俺に気づくことなくそのまま飛び出して何処かへとかけていってしまった。
『………………オールブルー』
四つの海が交わってできる幻の海域。たしかサンジ兄の夢だったはず。
『……………………』
俺はカートを押しながら厨房へと足を踏み入れた。
21話