18話
『ここが厨房であっちがフロアへと繋がってる扉だから。』
「おおお!さすが赭足のゼフのレストランだぜ!どこもかしくも設備がすげえ!」
「さすがオーナーだけあるぜ!!」
そう俺がバラティエのなかを案内するごとにパティとカルネは興奮したように声をあげた。じーちゃんをきらきらした目で褒め称える二人は少し頬が紅潮している…。
『二人は本当にじーちゃんに憧れてるんだな。』
そう俺が告げると二人は大袈裟だと言うぐらい大袈裟に頷いた。
「あったりめえよ!」
「俺たちコックにしたら赭足のゼフは雲の上のお人だぜ!」
「そんなお人のもとで働けるなんてっ!くぅぅぅぅっ」
カルネは目から涙をほとばしらせ虹を作りながらおいおいと泣き出し始めた。
『そんなに泣くくらい嬉しいのか………』
飛び散る涙がかからないように少し下がりながら俺は二人を見つめた。
二人はいまだにじーちゃんを褒め称えて《雲の上のお方だ》とか《コック会の神だ!》とか言ってる。
かなり、凄まじい信仰心だな………。
俺は少し引きながらも二人を次の場所へ案内する為に歩きだした。
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「がきんちょ、どうだ、ちゃんと案内はできてるか?」
「アクリ、大丈夫だったか?」
大体の場所を案内しきった後、通路の先から歩いてきたじーちゃんと、その隣を歩いてきたサンジ兄が俺に気づき声をかけてきた。
サンジ兄の顔は心配そうで、どうやら初めて店のなかを案内する俺がかなり心配だったらしい……。
『大丈夫だよ、サンジ兄、じーちゃん。案内くらい心配しなくても問題なくできたよ』
そう漏らす俺にサンジ兄はあからさまにほっと息をはいた。なんだか、日に日にサンジ兄が過保護になっていってる気がするんだけど、俺の気のせいだろうか……?
そんな俺たちを見てからじーちゃんは後ろのパティとカルネに視線を移した。
「!!」
じーちゃんに視線を向けられたことにパティとカルネはびしっと背筋を伸ばす。そんな二人にじーちゃんは口を開いた。
「おめぇら、すぐには覚えられんだろうが、わからねぇことがあったら他のコックどもに聞くかしろ、わかったな」
「は、はい!オーナー!!」
じーちゃんの言葉にパティとカルネは敬礼でもしそうな勢いで返事を返した。
「がきんちょ、ご苦労だったな、自分の仕事にもどって良いぞ」
『了解、じゃぁ、次の仕事にうつるよ。』
「あ、アクリ、俺も行くぜ」
歩き出した俺の隣に並んで、サンジ兄も歩き出した。
「アクリ!案内してくれてありがとよ!」
「助かったぜ!」
そんな俺ににっと笑いながら後ろから手を降る二人に俺も手を振り替えしサンジ兄と二人で厨房へと向かった。
18話