Last*Lost
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「おはよう、いい夢はみられたかしら?」
「…… えっ?」
目を覚ますとシルバー色の綺麗な髪をした老女が覗き込んでいた。
「1週間寝続けたのはどうしようかと思ったわ…けどよかった。
…………………………あら? あらら? あらまぁ、いけない。
あなた、これは見える?」
人差し指を出す老女。
「…『あなたの精孔開いちゃったみたい』
ってええええ?!」
何だよそれ何か見えるし
というか心なしか身体のまわりを光るものがだなぁ…
夢の続き?
試しに手をつねったら痛かった。
「驚くのも無理ないわ。でもね、信じて頂戴。
この世界には奇跡も魔法もあるの。それを起こす力がーーーーーーーー念というものよ」
ハンターハンターですよね、それ。
えっ、本当なの、えっ?
じゃあこの状況って一部女子がハァハァしてて怖かった異世界トリップというやつじゃあるまいか
連れて行くならその女子を連れて行けばいいのに!!
「まぁ、混乱するのも分かるけど…貴方このままじゃ死ぬわよ?」
冷たく微笑んで言い放った老女の言葉に固まった。
「落ち着いたようね。そう、いい子ね。
念は一種の生命エネルギーなんだから、そのまま大量に出し続けたら危険よ。
全身をオーラがめぐる感じ、意識できる?」
めぐる感じ。回る感じ。包む感じ。
イメージする。
「あら飲み込み早いわ。
もう命の危険はないわ、よかったわね。助けた途端死なれちゃ困るし」
「あの…ありがとうございます。
俺、木更津焚兎っていいます。」
「ジャポン系列の名前、ね。よろしく、タクト。
私はロゼッタ。しがない古書店の主よ」
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