Last*Lost
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09



「余裕だな。
国に見捨てられても神が助けてくれるってか?」

ニヤリと嫌な笑みでイギリスはクロスにかけられたジャンヌをみた。



「いえ、私は神の子であることをやめました。

だから、『ただの少女』。国家に対して重い価値はないんです」



そう、フランスがそれで助かるなら。
あの人がそれで救われるなら。きっとあの人は泣くだろうけれど。
私は、どうなったっていいのだから。



と、イギリスがこちらを突き刺さるような鋭い目で正面から見つめて言った。


「俺の為に死ぬ気はないか?」


まるで場違いなプロポーズのような発言に苦笑し、ジャンヌはこたえる。

「私はフランスのためだから死ねるんです。」



正確には、フランスさんのためかもしれない。彼のためなら聖女にだって魔女にだってなるのだから



「………そうか。」



そう言ったイギリスは顔をうつ向け、思う。


あいつはヒゲだし変態だが、こういう奴を見捨てることはしない。きっと上司かなんだが原因なんだろう、と。
そしてそれを分かっていて利用し今から自分はこの女を焼き殺そうとしている。


なんともまぁ、俺は最低だ。
分かってはいたことだが自分自身を嘲笑するしか慰めがなかった。



「これは俺が負うべき十字架、か。」




ぼそりとイギリスは呟き、

そして重い言葉を吐き出した。




「火を。魔女は処刑しねぇとな」



一瞬の間、
そして部下らの返事。





魔女は今、火あぶりの刑に処された。







  






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