Last*Lost
逃げるだけは得意だと思う
ただその場を観て呆然としている后三郎さん
血に濡れた刃を持つサクタ兄
その血の主はサクジ兄
朔次兄のもつ刃に刺さっているのはサクミツにい
俺はサクミツにいが無表情でないのをはじめてみた
今日の話は后三郎さんが外出していた件にもよるらしい
次期当主の決定について、だ
何で本人に何も言わず俺に決めたよ!?
それを伝えた后三郎さんに怒ったサクジ兄が切りかかって、それをサクミツにいは庇ったらしい
サクジ兄を慕っていたらしいサクミツにいがそのときどんな感情だったかは、今でも分からない
サクタ兄はサクジ兄が暴れ出すのを止めようと抜刀して勢いで、あー、その
サクジ兄を手にかけてしまった、という。
なんだ、全部俺のせいか
「サクタ兄、俺が次期当主狙って后三郎さんを襲おうとして二人を手に掛けた。サクタ兄は后三郎さんを守った、自分が不利と悟った俺は逃亡。そういうことでいいよね?」
「なっ、」
ただでさえ泣きそうな顔をゆがませるサクタ兄
こんなときに一緒にいられないなんて俺はやっぱり最低だ
これだってきっと俺が逃げたいだけなんだ、この現実から
「后三郎さん、ありがとうございました」
俺はその日、ジャポンを出た
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