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最初に惹かれたのは顔でも性格でもない。
ただ、自分にない考えを持つ思考に惹かれ知りたくなっただけ。
霧姫と初めて出会ったのは一年前程。
しかもその時、彼女はこちらに気づいてもいなかったはずだ。
たまたま廊下で雑談している雑談が耳に入ってきただけだから。
「あのね、誰にも解けない問題があるの」
その一言から俺達は始まった。
今思えばあの会話が聞けたのも偶然。
普段の俺なら気にせず教室へ寝に戻るだろう。
誰にも解けない問題。
そう言われると興味が出た、本当にただそれだけ。
俺や花宮にも解けないような問題ならこの娘は相当頭がいい。
ここで一番最初に興味を持った。
彼女の友人も興味を持ったのか"知りたい"と答え霧姫は自慢気に問題を出した。
「えっと‥問題です!
"雪が溶けたら何になるでしょう?"」
正直、ガッカリだった。誰にも解けないと言われた問題が小学生でも解けるような簡単で馬鹿らしいものだった。
きっと霧姫の友人も同じことを思ったのだろう。その問題を鼻で笑い、堂々と答えを言った。