弐
それから数日後、事態は急変した。
「豊臣の軍師が話をしたいって?」
「詳しい話はしねぇんですが‥」
「元親が行かないとするつもりがないってことね‥」
急なことで驚いたが穏便に終わらせることが出来るならそうしたい。
刀を片手に元親の指示を待つ。
「話に乗ってやろうじゃねぇか‥
霧姫俺の後ろにいろよ。
何が目的か分からねぇ奴等にお前の姿を晒したくねぇ」
「危ないって思ったら前に出るからね」
外に出てみると目の前には豊臣の大軍勢。
まさかここまでの数が進軍するとは思っていなかった。
それに元親は物怖じせず碇槍を甲板に突き立て、軍勢を見下ろす。
「豊臣の軍師がこの西海の鬼、長曾我部元親に何の用だい?」
「元親君、君が素直に出てきてくれて嬉しいよ。
僕自ら出向く手間が省けた」
元親の問いに答えたのは白い髪に紫の仮面‥豊臣の軍師、竹中半兵衛。