あくまと酒に酔う 前編
「っあ〜い!ゆきぉお〜!あははははは!」
「ちょ、兄さんどうしたのさ!」
ふらふらとした足取りで寮の部屋に帰ってきた兄さんはいきなり僕に抱き着いてきた。
「ほら、もう少しでベッドだから!歩いて兄さん!」
「ん〜もうここでイイよぉ〜」
「床に寝かせられないって。ほら到着だ、よ!」
ドサッ
「さんきゅ〜!あははっ!」
舌っ足らずな口調、バランスを保てない身体…何よりも呼気に感じるこのアルコール臭。
「ちょっと兄さんお酒なんて何処で飲んできたんだよ!僕らまだ未成年だよ!?」
「おしゃけなんか飲んでないっ!」
「呂律回ってないから。それにアルコールの匂いもするし」
「のんでないっ!!」
「あーもう……んじゃあ何処で何を口にして来たの?何か貰って食べなかった?」
「んん?べつに変わったもんは………あ、チョコ!おすそわけってめふぃすとが!ゴディバのアブソ…なんとかってやつでそれ食いながらかえってきたんだー……ほらおまえにも!」
どうやらベッドに転がした時にも運良く潰されなかったらしき綺麗な個包装の物体を、ポケットから取り出して僕に差し出す兄さん。
「ゴディバのアブソルート……これウォッカ入りのチョコレートボンボンじゃないか。まったくフェレス卿は……。チョコレートで酔っ払う兄さんも兄さんだけど」
「なんか入ってたぞ!うまかったぞ!ゆきおもくえくえ!」
「………はぁ。また後で頂くよ」
「だめっ!いまーっ!」
「え、わっ!」
いきなり力任せに引っ張られ、反応する間もなくベッドへ引き倒された僕が慌てて身体を起こせば、兄さんに覆いかぶさる体勢になっていた。
「っ!ごめん兄さん、すぐ退けるから」
「だーめっ!」
「ちょ痛いっ!兄さん酔ってるのに蟹挟みとか!力加減出来てないから!痛っ!痛いたいたたたたっ!わかった!今食べるから!兄さん!腰痛いって!」
「よしっ!食え食えっ!」
いつの間に僕から取り返したのかチョコレートの個包装を剥く兄さん。
「兄さん、チョコはちゃんと食べるから…その、足解いてよ…」
兄さんの足で腰を挟まれ強く引き寄せられているせいで…その……股間同士が密着してしまってて恥ずかしいし色々とまずい。
「だめだめっ!逃げるだろおまえ!」
「逃げないから、兄さ…っ」
更に足に力を込められ、ぐりっと自身を押された刺激に小さく息を飲む。
それは兄さんも同じだったようで「んんっ」と呻きはしたのだが、そのままの体勢でまたチョコの個包装を剥き始めた。
「ほら、あ〜ん」
「……兄さん、自分で食べれるから…」
口を開くように要求されるが、今の僕は腕や足の力をフル活用してなるべく腰を浮かせるのに集中している。これ以上前屈みになるなんて以っての外だ。
「………やっぱくってくれないじゃん!」
「に、兄さん暴れないで!っあ」
「んっ!」
僕の腰に足を絡めたままの兄さんが身動きしてまたぐりぐりっと股間同士が擦れる。
さっきよりも刺激が強いのは僕のモノが反応し始めちゃってたから。
「ゆ、きお?」
アルコールでとろんとした瞳の兄さんが首を傾げる。まずい。気付かれないように腰を浮かせてたのに……。
「ゆきお……」
「……え?…っあ、兄さんっ、ダメっ」
引かれるかと思ってたら突然兄さんがグイグイと腰を押し付けてきた。硬くなった僕のモノと擦れる兄さんの…
「……え、何で兄さんも…」
「ゆきおっ、あっ」
兄さんのも硬くなってた。
「んっ、ふ、ぁっ、」
「……に、兄さっ、ぅ…」
更に押し付けられ擦れ合ったモノがじんっと痺れる。布越しのもどかしい快感に僕の腰は無意識に揺れていた。それは兄さんも同じなのか、手に持ったチョコの存在も忘れ、とろけた表情で小さく喘ぎながら腰を揺らしている。
その時、不意にアルコールの匂いが強くなった。
見れば兄さんが指先で摘んでいたチョコが溶け、中身と一緒にたらりと兄さんの手を伝っている。
その光景に、僕は思わず兄さんの指にしゃぶりついていた。
ちゅ、ちゅぱ、ちゅ、ぺろっ
「っあ、ゆき、んっ、」
「兄さん、は、甘いね」
指の先から手の平まで、舌と唇を使って夢中でチョコレートを舐め取る。その刺激に引こうとする兄さんの手を掴んで更に深く舌を絡めた。
「ばっ、ばか!ゆきおのえっち!」
「兄さんだってえっちじゃないか……ほら、こんなにして」
今度は狙って腰を押し付ければお互いに高ぶっている事がありありとわかる。
「ばかっ!ばかぁっ!」
「もう馬鹿バカいわないでよ……バカなのは自分が一番わかってるから」
「ひっ、そんな、擦ったら、あっ」
「……んっ、気持ちいいね」
「ゆきおっ、ゆきっ、ぁっ」
布越しの緩い刺激だけじゃ我慢出来なくなった僕は兄さんのズボンのベルトに手を掛けた。
ツヅク
長いので一旦切断。
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