かげでコッソリ
『……ったく。人呼び付けといてどんだけ待たせるんだよメフィストの奴…』
「……どうやら菓子には飽きたようですねぇ」
「ボクもお菓子食べたいです兄上」
「物音を立てたら奥村君に気付かれますよ?今は我慢なさい」
「………ハイ…あ、部屋をウロつきだしましたよアイツ」
「手持ち無沙汰なんでしょうねぇ。……おや?」
『うわっ!理事長室になんてモン置いてんだよ!……《めろめろ学園物語》!?…アイツ仕事やりながらこんなゲームするとかマジ有り得ね……っっ!!』
「……ふふふ。あの攻略本は18禁ゲームのキワどいイラストが満載ですからねぇ。奥村君の反応が楽しみです」
「わざと置いたんですか?」
「勿論ですよ☆」
『……ちょ、うわ…何だよコレ…………………はっ!何読んでんだ俺!こんなとこメフィストに見られたら死ぬほど揶揄われるじゃねぇか!!』
「ああ、そんな乱暴に本を叩きつけて……しかし真っ赤な顔をして何とも初々しい反応ですねぇ」
「ボク下に降りてアイツを近くで見たいです兄上」
「まだお前を直に会わせる時期ではない。それに会わせたとしても遊ばずにいられるのか?」
「………出来ません」
「では我慢しろ。……さて、私は下に戻って奥村君を揶揄うとするか」
「兄上だけズルイです」
「時期が来るまでのお楽しみと思え。この屋根裏の出口はあっちだアマイモン」
「………………………ハイ」
不服そうにのそのそと匍匐前進で去っていくアマイモンを見送ってから、メフィストは理事長室の扉の外へ軽やかに降り立つ。
ガチャッ!
「やぁ、お待たせしましたね奥村君☆」
「!遅っせぇんだよメフィスト!何してたんだ今まで!」
「いやぁ少々人間観察を……やはり奥村君もお年頃ですね。あの様な本に興味を持つのですから…」
「っ!……な、何の話だよ…」
「とぼけなくてもイイんですよ?
………《めろめろ学園物語》…(ボソッ)」
「っっ!!!」
「中々クオリティの高いスチルの数々だったでしょう?私もお気に入りの一品なんですよ☆」
「メフィスト!お前、ワザとアレを置いてたなっ!?」
「さて、何のコトやら?(口笛ピューピュー)」
「つか何処から見てた!!」
「さあ何処でしょうねぇ?ああ、そんな事より奥村君。あの本お貸しいたしましょうか?」
「はっ!?い、いらねぇよ!」
「イイんですよ?好きにお使いくださって」
「だからいらねぇって!あんなモンに興奮しねぇよ!ガキじゃあるまいし!」
「おやそうですか。では……もっと過激なのは如何です?」
「………へ?」
「奥村君がガキではないのならもう一段大人の階段を昇ってみるというのも…」
「……ちょ、待てよ…そんな急に言われても………そ、それってどんなヤツ…?」
「ふふふ……やはり奥村君も男ですねぇ。イイ食い付きですよ。まぁこんな場所では何ですからアチラに。モノもあのウォークイン・クローゼットの中にありますので。
さ、奥村君」
「…………お、おう…」
キィ…パタン…
『ここにあるのって何なん……っ!イキナリなにすんだよ!』
『もう一段、大人の階段を昇るんですよ☆』
『ふざけんっ、な!』
『おやおや。狭い場所で暴れては怪我しますよ?お行儀の悪いコは……こうです☆』
『ひっ!し、尻尾!そんな強く、握っ、ぁっ!』
『やっぱり感じ易いんですねぇ、奥村君。素晴らしい…』
「…………………………やっぱりズルイです兄上」
オワリング
♪大人の階段の〜ぼる〜、キミはまるで〜奥村燐さ〜(本人です)
ちなみに帰ったフリしてコッソリ戻って覗いてたアマイモン。
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