君の好きなうた





『また明日ね〜』



そう言って愛しい彼女は手をふった






ああ、今日も言えなかった


そんなおれはヘタレなのか





勇気を振り絞って一緒に帰ることまでは誘えるものの…


そこから先へ勇気を振り絞って
好きだと伝えれない





一緒に歩いているときに感じる彼女の体温も愛しくて
思わず握りたくなってしまう

でもそれもできなくて
拒まれることを恐れてしまって
一歩も踏み出せずに今日が終わる











彼女が自分の家に向かう曲がり角まで目で見送って
見えなくなった瞬間に深いため息をつく






「俺らしくねェな」



そう呟いて今まで向いていた方向と逆を向いて歩き出す




それと同時に口ずさむのは
いつも彼女が鼻歌で歌ううた





君の好きなうた



(これを歌っていればまだ君と一緒にいる気がして…)


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