光と絵の具


白い世界の上に
持っているすべての絵の具を絞り出してみる
綺麗に色をつけて
夢のような世界を作ろうと
心に優しい空想を抱き
筆を手に取る
 
 
 
何も考えずに
心に浮かぶ幻想の世界を
そこに塗り
それはやがていろんな色が混ざり始める
取り替えしもつかないくらいに
混色を繰り返し
そして
真っ黒い世界が出来上がる
 
 
 
そこにどんなに綺麗な色を乗せても
まるで闇に吸い取られて行くように
深い深い黒い闇だけが残り
心の中の世界とはどんどんかけ離れて行く





それでもめげずに
新しい真っ白な世界を作り出す
絵の具がだめならば
この煌煌と光輝く太陽で
そこに心の幻想を彩ろうと
プリズムを通した光をそこに集めてみる



白い世界は夢のように彩られて
心の中の幻想の世界は出来上がって行く
だけど
どこまで色をつければ
それが綺麗な煌めく世界なのか解らなくなってしまった私は
その光をどこで止めるということなく
どんどんと混色を繰り返しやがてそこには真っ白な世界が残る
 
 
 
どんなにどんなに綺麗な色を乗せても
黒い闇の世界と同じで
そこには白い闇の世界が果てしなく続く
 
 
 
 
 
結局、一枚もの綺麗な幻想の世界は作り出せず
心に刺を残したまま
また一枚白い世界を前に
私は心にある幻想の世界を描こうと
今日も一人筆を取る



まわりにある
たくさんの素晴らしい絵に目もくれず
素晴らしい世界を夢見て
今日も描き続ける



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