君と未来を歩む | ナノ




困ったやつ(小)



『露伴』
目の前のそいつをじっと見つめる。目はそらさない。

「………」
そいつはふきげんそうに、でもどこかおどおどしたように明後日の方を向く。
ぎゅうと半ズボンをにぎりしめて、ぐっと口をつぐんでいる。

『きいてんだろ?おい』
一歩ふみだす。目はそらさない。

「………………………………………」
そいつは一歩さがる。ズボンをつかむ力が強くなり、ますます固くしめたじゃぐちみたいにだんまりになる。

『露伴!』
だあん!!とじぶんでもおどろくぐらいに足をふみ鳴らす。ついに相手はびくっとしてこちらを見た。
「な、なんだよ幸彦。僕は何も『てめえのおかあさんに言うぞ』なにッ!?きたないぞ!」
『やったんだな?』
そいつの顔におれの顔を近づけ、最後のかくにんをする。うそは言わせない、ここまで来たら素直にしゃべってもらおう。

露伴は冷や汗をかきながらしばらくあちこちに目をやったあと、あきらめたようにため息をついて下を向いた。
「認めりゃあ良いんだろ………ったく、ちょくちょくカンが良いのが困るなあ」
『よしじゃああやまりにいこうな?』
「ハイ」




『それにしてもよお、なあんでウサギ小屋なんかにしのび込んでたんだよ』
「新しいしりょうが欲しくてな……もうしないよ」
問いつめてはかせるまでに時間はかかったけれど、中身はそこまで重い話でもないんだ。

夜にだれかが学校にしのびこんで、ウサギ小屋のフェンスをこえて何かをしていた。
さいしょにその話をしたのは用む員の人で、かい中電とうで学校の見回りをしていた時だったらしい。もう夏のはじめに入ったからか伸びてきた草をふみたおしながら進むと、何やら前の方からカリカリと音がしてくる。明かりを右に左にふってみても音の原因は見つからない。仕方なくぬき足さし足で近づいてみると、そこには………



『まあお前なんだけどな』
「いきなり何を言いはじめてんだよ」
『露伴のせいでウサギ小屋のゆうれいなんて七ふしぎが学校中に広まってんだぜ、はんせいしろよな』
けっきょく先にだれかが向かってくることに気づいた露伴の行動の方が早く、あっという間にフェンスを乗りこえてにげきったらしいけど、さすがに音と、ちらっとかい中電とうにてらされたすがたはごまかせない。気の弱い用む員さんは何もかもほっぽり出して帰ってしまったらしい。

「そんな時間に仕事していたカズさんが悪いだろ」
『わるいのはおまえだよ』
カズとは用む員さんの名前だ。その日からゆうれいじけんがかいけつするまでは見回りをしないと言ったので、人の良いカズさんを辞めさせるのはおしいと思った先生たちやみんながはん人探しをしていたわけだ。



『まあよぉ、露伴にもりゆうがあっただろ?話せば分かってくれるかもしれないぜ』
「きみは………本当に人を疑わないな」
『そりゃあゆうれいのうわさ聞いた露伴があからさまに目をそらしてたからな。あれはケッサクだった』
おれぐらいになると露伴がうそついても何かかくしていても分かってしまう。うぬぼれじゃないぞ!これは本当だ。くわしくなに考えてるかはちょっと本気で分からないけど。

『お前の考えなんか半分はおみおとしだ』
「お見通しな?しょうがない、ゆうじんのためにもあやまってやるか」
『あいかわらずむかつくな露伴よお』



でもけっきょく露伴とおれはげんこつをくらうはめになった。まきこまれぞんだ!



prevnext




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -