入学してまもなくのこと
「なんで僕と幸彦が違うクラスなんだよーーッ!!!おかしいじゃあないか!!クラス決めた先生は今すぐ僕の前でしゃざいしろ!!」
『おちつけ露伴!!おまえじゃ何も変わらない!』
「お前らなかよしだな」
『見てないで助けろアキオ!』
気づいてのとおり、ただいま露伴がふんか中である。たすけろ。
入学式もぶじに終わって(歌はきちんとおぼえてきた)次の日にクラス発表だったんだけど、はられた紙を見たとたんにこんな感じだった。せつめいおわり。
「そもそもきみのせいだ幸彦!!僕と友達になんかなったからこんなにメンドウなことになるんだ!!」
『てめー1年半もまえとおなじこと言うんじゃねえよ!もう小学生だろ!!』
「きみと一緒のクラスじゃない1年なんてゴミクズもどうぜんだ!!」
なんだこいつ、とさけびそうになったところで先生が来てくれた。たすかった。
だれかおれをたすけろ。
さわぎを止めてくれた先生……はしもと先生がおれ達を連れてきたのはしょくいん室。なんで初めて入る部屋がここなんだろう、露伴のせいだった。ちくしょう。
「だがもう決まってしまった事だ。仲良しの友達と離れるのが辛いのは分かるが、君はもう1年3組のクラスメイトなんだ」
「そうやって言いくるめようとしてもムダですよ、僕はもう幸彦とはなれる気はない」
ハシモト先生がこいつ大丈夫かって顔で露伴を見た。おれもちょっとそう思ってる。
正直ここまでおれのことを大事に思ってくれてるなんて知らなかったからなあ。うれしいと言えばそうなんだけど、だからおれの教室にまだ入れていないのはゆるしてない。いやゆるさん、まつだいまで言いふらしてやろう。
おれが心の中でそうしている間、ハシモト先生と露伴はまだ言いあらそいをしていた。教室いきたい。
「なあ、きみからもなんとか言ってやってくれよ!!」
『おれんとこナナミとイイダくんがいるからべつに良いしなあ』
「………え、」
固まった露伴をすかさず抱えあげてしょくいん室からダッシュした先生はかっこよかった。
『ってことがあってさ、もうホンット〜タイヘンだったんだよ』
《たいへん?》
『おう、だからお兄ちゃんがんばれっておうえんしてくれ』
《……かっこいいにいちゃん、がんばれ》
『おれがんばる!』
リビングの電話で話しはじめて15分。向こう側のおれのいとこは、一方的にしゃべっている(自覚はしている)おれの話をうんうんとうなずきながら聞いてくれている。もちろん今日のことも話したら、さっきのようにはげましてくれた。
こいつが生まれてからまだ2回ぐらいしか会っていないけれど、かわいいおれの弟分だ。
「幸彦ー、そろそろ終わってお風呂入りなさい。お父さんそろそろ出てくるわよ」
『はあい。仗助、お母さんにかわって』
《……つぎ……いつ?》
『5月にまた。じゃあな』
《ん》
じゅわきをお母さんにわたして、お風呂場へと足を進める。
色々ありすぎてつかれたけど、また明日からがんばっていこうと思う。
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