君がいない
待って、
待てよっ、敦士っ
何で逃げるんだよっ!!
おい、待って、頼む、俺を置いて行かないでくれっ
行くな
敦士っ、行くなぁぁっっ!!!
「行くなあぁぁぁァァっっ!!!」
「…うるっせーぞっ、永井っ!!何寝ぼけてんだっ!!」
―ハッ。
目を見開くと、まだ部屋は薄暗かった。
「たまの休み位ゆっくり寝かせてくれよぅ…。」
同室者の佐々岡が下のベッドから眠たそうに声をあげる。
時計を見ると、まだ午前5時だ。
汗をびっしょりとかいている自分を見て驚いた。
枕にまで大きなシミを作っている。
…最近、俺は同じ夢を何度も見る。
真っ暗な暗闇の中で俺が敦士を追いかけている。
敦士は俺が後ろから色々と叫んでも全く後ろを振り返らない。
俺は敦士を掴まえるどころか、どんどん距離を離されていく。
こんな嫌な夢、どうして…
敦士が学校に来なくなってもう一ヶ月が経つ。
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