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限界突破。ハートブレイク。俺のハートは硝子よりも脆いんだぞ。
くそっ、チワワめっ。畜生っ…言いたい放題言いやがって…。お前のこと見てて何が悪いんだ。睨んでなんかねーよ、目つきが若干悪いだけだっ。てか、そりゃ見るだろ!だって、お前変わってるんだもん!変人じゃん!何で一人だけ女子の制服なんだよ!気になるじゃん!他のチワワたちは化粧はしてるけど、お前は最早女装じゃん!
それに俺は、別に態度デカくねーぞ!教室で、いつも一人で静かに座ってるじゃねぇか…友達いないから。
「うっ、うぅ〜…っ」
悲しみが更に増し、泣き声が更に半音高くなってしまう。
もう顔も心ぐちゃぐちゃだ。
なのに、猛獣チワワは俺を見つめたまま、何故か情熱の眼差し。違うだろ、そこは。チワワに限って無いとは思うが、全然期待なんかしていないが、…慰めの言葉とか、あるだろ。
「何じゃこりゃ…この高揚感は。いや、俺には、まゆゆだけだ。俺は真弓だけだ。真弓一筋だったハズだ。裏切りは許されない。しかし、あぁ…しかし…それにしても何て…」
猛獣チワワに胸倉を掴まれていた手が解かれる。代わりに、肩を押されて床に縫いつけられていた。
「あ…ぅ?」
「あぁ…これはこれで旨そうだ。」
猛獣チワワの真っ赤な舌が垣間見えた瞬間、この学校がホモの巣窟で、至る所で、掘ったり掘られたりの関係が行われていることを咄嗟に思い出した。
案の定、俺の涙にまみれた顔を長い舌で舐められ、制服のネクタイに手をかけられた。
「あぅ…やだぁ、やだぁ」
首を横に振って拒絶を表すが、猛獣の手で強く固定されてしまった。いよいよマズいと脳内で警笛が吹き荒れるが、身体がビクとも動かないのだ。チワワの奴、華奢なくせに、どこにそんな力が…俺の方が身体つき大分いいのにっ。とことん俺の常識を根底から覆す奴だ。
「やめろっ…やだやだっ糸島っ」
「ハァハァ…堪らないっ」
「やっ!!?」
急にチワワが俺の鼻から垂れる汚物を舐め取り、仕舞いには鼻の穴に舌を突っ込まれ、クネクネと生き物の様に動かされる。
その行為に全身鳥肌が立った。
それに反して、顔が羞恥で一気に火照り出す。
「鼻水美味しいなぁ」
「こんの、変態っ!!」
「はぅっ!?」
目の前の猛獣チワワは目を見開き、股関を押さえ、息を止めて悶絶していた。当然、俺が蹴り上げたからだ。
しかし、セーラー服姿の女子(?)が股関を押さえて悶絶している姿は実に奇妙だ。珍妙な絵図。
それはさておき、俺はその隙に脱出した。急いで出口へと向かう。扉を盾にして、チワワに向かって言葉を投げ掛ける。
「変態!猛獣!」
「…死ね…獅子崎」
「エロチワワっ」
「うっせぇ…ブス」
チワワは依然と床にうずくまっていた。良い気味だ。俺をイジメた罰だ、きっと。あの猛獣チワワが今は全然怖くない!
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