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なぁ?と布施は本島の同意を求める。

「あぁ。実際、奴は表面上は優しい奴なんだ。そういう噂も聞くからな。しかも、あの草野といつも一緒にいるんだ。より、奴の寛大さが際だってくる。まぁ、俺ら位になるとな、何か奴からは怪しい匂いを感ずるわけ。」

本島は頭が無いせいか、話しをするとき、よく身振り手振りを交えて説明をする。

「同感だな。ぶっちゃけ、奴が優しいなんて可愛い性格かよ。いつもニヤニヤ笑ってるし、なんだか不健康そうな顔つきしてるぜ?」

「あぁ。ヤバい薬でもやってんじゃねーか?」

ふざけんなっ

ドンッと壁を叩いた俺に、布施は吸っていたヤニを口からコロッと落とした。

「…お前らと話してると気分悪りぃわっ」
立ち上がって、その場から離れようと足を踏み出す。


「じょっ、冗談じゃねぇっ!!!お前が聞いたんだろーがっ!!!」

「よせ、なつ。…まぁ、俺らも滅多なことを言うもんじゃない。幽谷が少なからずマトモじゃないって事を、アイツも直に気づくさ。」

布施は落ちたヤニを拾うと、それを握り潰した。







◆◇◆



何でこんなに腹が立つのか、自分でも分からない。幽谷なんかダチでも何でもねーじゃねぇか。

だけど…アイツは草野に殴られそうになった俺を助けてくれたじゃねぇか。

確かにキナくせぇ奴だとは思う。

でも俺は幽谷を、優しい野郎だって…思いたい。



…阿呆か俺は。そう思ったからってどうなるっていうんだよ。

何にもならねーじゃねぇか。


何にもならねーじゃねぇか。

そもそもどーなりたいんだ。

これじゃあ、まるで…

「違うっ!!!断じて違うっ!!!俺の頭から出ていけキツネっっ!!!」

「あははっ、何してんの?」

背後から響いた声にゾッとした。

この声は、間違いない。俺の頭の中で何度もリピートされた。

「何が違うんだい、大仏君?」

やっぱりそうだ。…恥ずかしくて後ろを振り向けない。

俺が硬直してると、後ろにあった気配が横に移動した。

「どうした?」

「浩二っ、ほっとけって。三下なんて。」

「あぁっ!!?てめーも居たのか草野っ!!」

俺はお呼びでない野郎を睨みつける。

「…何だぁ、その目は?文句あんのかよ。お前弱いんだからさ、立場わきまえろよ。…お前みたいに弱い癖に気だけは強い奴見てると苛々すんだよっ、このブ男がっ!!!」








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