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それから片山が学校に来たのは3日後だった。
明らかに様子はいつもの片山ではなかった。片山の周りの連中も片山には一切話し掛けない。
何かあったのだろうか。
放課後。片山は周りの連中に連れられて何処かに向かう様だった。何か様子がおかしいのは気のせいか?
そんな事より。俺は片山に聞きたい事がある。はっきりさせたい事があるのだ。
「おい。」
連中の中にいた片山は俺の姿を視野に入れると、目をめいいっぱい広げた。
「お、大場君。」
「何スか。」
いや、お前らに用はないから。
「片山。ちょっと来い。」
「…ンだよ。俺には構うなっつって、てめーが俺に構ってんじゃねーか。」
片山はそう言って、鋭く睨みつけてきた。
「大場君、片山シめるんスか。」
「俺らも協力しますよ。」
あ?何言ってんだコイツら。
片山の顔を見ると、奴は苦虫を噛み潰した様な顔をして俯いていた。
「俺はこいつと話があるんだ。おまえ等は散れ。」
そう言い放てば、連中はそそくさと教室から撤退していった。
…一つの肉に群がる、ハイエナだな。
俺の雰囲気に当てられた教室にいた生徒達も足早に雲散していく。
暫くして、教室には静寂が漂い始める。
「何、なんだよっ」
その静寂は片山の不満の一声によって破られた。
「お前が解らねぇ。」
「は?」
「お前は俺の事嫌いなの?それとも…」
その続きが出てくる前に、片山の言葉で遮られた。
「だいっきれーだよ、てめぇなんかっ」
俺の眉間に皺が刻まれる。
「お前、俺がお前の事好きだとでも言いてーのか?頭おかしーんじゃねぇの?小学校の時に言ったのは冗談に決まってるだろ。それ位わかれよ。」
「…俺にキスしたのは?」
「てめぇが女に見えたからだよっ。このカマ野郎っ」
…あぁ。最悪だ。
コイツはこーいう奴だったじゃねぇか。
「…忘れんなって言ったのは?」
「てめぇだけが忘れてるのが気にくわねぇからだ。」
片山の胸倉を掴み上げ、拳を握る。
片山は相変わらず、俺を睨み上げている。
「…殴りたきゃ殴れよ。俺が嫌いなんだろ?」
「あの時、殺しとけば良かった。」
「それは惜しかったな。」
俺は掴み上げていた手を下ろした。片山は不思議そうな顔をしている。
「少しでも考え直した俺が馬鹿だった。お前なんて大嫌いだ。死んじまえ。」
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