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―あれから十年の月日が過ぎた。





「もぉ、ヒロくんのえっち。」

「赤澤がそんな誘ってる様な格好しているからだろ〜」

「だってぇ、暑いんだもん。」


何だかんだ絆されて、今では砂を吐きそうな位甘い関係を俺たちは築いている。

昔の俺では考えられない事だが、この甘さも嫌ではない。


「…なぁ、いいだろ?」

「…俺、もぅケツ痛い。」

「そんな事言って、ここ触られると我慢できなくなる癖にぃ」

「ぁっ…ちょっ、ヒロくん!!」


因みに、弘前がこんなエロい奴だったって事も知らなかった。今では毎晩、俺は布団の上で弘前に鳴かされている。


「好きだよ、赤澤。」

「…俺も好き。」


あんなに弘前の事が嫌いだったのに。あの日記が俺の中の弘前を変えてくれた。

弘前は、俺の為に大切な物を全て捨ててくれた。学校を卒業してから、互いに働いて、質素ながら一緒に幸せに暮らしている。

俺は本当に幸せで、今ではあの日記に感謝している位だ。あの日記は今でも俺が持っていて、本人に返すつもりは無い。もう、本人には必要ないと思うから。


「なぁ、赤澤…」

「…ん、いいよ」


弘前が俺の服の中に手を差し入れて、肌を撫でていく。


「はぁ…ヒロくんっ」

「ん?」

「まだ…辛い?苦しい?」


弘前は俺の言葉に目を見開いたが、次第に優しい顔つきになっていった。


「幸せだよ。生きてて良かった。ありがとな。」


そう笑って、俺の唇にキスをした。

俺の想いがもっと伝わればいい。そんな気持ちで俺も深く深く口づけた。








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