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「…悪かった。」
…俺がいけなかったんだ、きっと。
高橋が泣いてる。
俺がここまでさせたんだ。
「…」
俺は馬鹿だ。
「…今からでも、大丈夫か?高橋ん家行くの。」
「…」
「そうだ、夜食作ろうか。だったら買い物に行かない、とな…。」
俺は高橋を泣き止まそうと精一杯だ。
「夜食は俺が作るよ…」
「…」
「…高橋。」
「…作れるのか?」
漸く高橋が口を聞いてくれる。
「目玉焼きとかなら…」
「…そんなの夜食になんねぇよっ」
やっと泣いた顔で笑ってくれた。
俺もその笑顔に吊られて笑った。
「瀬戸」
「ん?」
俺らは高橋ん家に向けて歩き出す。
「…俺は別に…お前を不機嫌にさせたい訳じゃないんだ。」
「…」
「それだけ、知っといてくれ。」
「…」
「俺はお前の事、結構好きなんだよ。」
俺は足元の蟻たちの行く先を見つめる。
「…お前には、そうさせる何かがあるんだぜ?」
俺にも道があるのかもしれない。
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