「ここが…ガッコウ、か?」




親の事情で、叔父が理事長をやっている高校に急遽転入する事になった。


なかなかランクの高い学校の為、入試には手を焼いた。あの結果でパスしたなんて…明らかに叔父が裏で手を回しているような気がする。



まぁ、とにかく。今日、入学する事になったんだ。俺は。




やって来たのはドが付くほどのド田舎。

そして、無駄に豪華な学園の門の前に今俺は立っている。門の所には大きく『ハニュー男子高等学校』と書かれていた。


我が叔父の学校ながらスゲーと感動したのも束の間。続く「男子」という文字に俺は驚きを隠せなかった。


…全寮制とは聞いていても、男子高なんて一言も聞いてないぞ。


せっかく髪を金に染め、青のカラコンをして外国の血をアピールしても、レディがいないのでは全く意味がない。

華々しく転校生デビューをしようと思っていたのに…今更だけど。



…こんな事なら母さんの言う通り黒髪黒目のままにしとけば良かった。


「君、そんな所に突っ立っていないで早く入りなよ。」


門の向こうに同じ金髪の同じ青目をした、背の高いスラリとした生徒が立っていた。

と言っても、向こうのは俺のと違って天然の金髪に蒼い目だ。


「…スミマセン。」

「君が転校生?」
「ハイ、2年の羽生です。」

「僕は3年の沢村 蛍(サワムラ ホタル)。生徒会副会長をやっています。よろしくね。」


はわわわ…っ…サワムラー笑うとめっちゃ天使みたい…。

元がいいからかな?綺麗な笑顔だ。


「よろしく…ッス」

「さぁ、行こうか。職員室まで案内するよ。」


そう言って、お兄さんは歩み出した。


この学園は広かった。門から校舎までが歩いて20分て…


「はっ!?…くっ…」

「どうしたの!?羽生くん」


「くそっ…こんな時にまたアイツが…っ!」

「???」


くっ!…魔族の手の右手が疼く!


「…右手が、痛いのかい?」


俺が右手を必死に抑えているのを見て、先輩は心配そうに聞いた。


「い、いえ…何でもないんですっ…ただ、裂綺羅の奴がっ」

「…サキラ?」

「は!俺は一般人に何て事をっ!スミマセン、忘れて下さい…」


先輩の顔を見るとポカーンとしてたが、次第にククッと笑い出した。


…こっちとしては笑い事じゃない。裂綺羅が出てしまえば先輩を傷つけてしまう。

アイツは俺と違って凶暴だからな。


「…君、面白いね。腹の底から笑ったのなんて久しぶりだよ。」

「…はぁ。」








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