冷血な男
朝、俺は寝坊してしまってクラスにギリギリに到着した。
いつも騒がしいだけが取り柄の我がクラスが今日に限ってやけに静かだった。
いや、来る途中からして学園内が森閑としていた。
明らかな異常に気づいた俺は、いつの間にか俺の席まで来ていた山田に聞いた。
「一体何があったんだ?」
「どうやら黒田が、とうとう自分の親衛隊をぶっ潰したらしいぜ。」
信じらんねーよな、と山田はケラケラと笑う。
親衛隊を潰すという行為はこの学園では前代未聞のことだ。
なるほど、これは周りが静まり返るわけだ。
親衛隊の奴らは、まさか黒田が応援している自分たちを潰すなんて思いもよらなかっただろうし。
「さすが冷血な男だ。やる事がちげーよ!」
山田はバカ面を下げてゲラゲラと笑っている。
「笑い事じゃねーだろ。生徒の見本の生徒会が自分の親衛隊を…とにかく、潰すっていう行為が問題なんだろ。周りに示しがつかないし。それに他の親衛隊にだって影響がでる」
黒田は大丈夫だろうか。
何らかの処罰が与えられてしまうのだろうか。
…いや、待て俺。
他人の事なのに何でこんなに黒田の事を心配しているんだ?
「いんじゃね?親衛隊なんてほとんどが非公認なわけだし。よっぽどウザかったんだろ。」
…クソッ。何でお前が黒田を庇ってんだよ。
俺だって…俺だって…
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