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「…なぁ、進藤って結構俺様っしょ?」
…俺様?失礼な。
でも、
「………まぁ、あんまり周りに左右はされたくねーな。」
「やっぱりな。結構可愛い顔してるけど、なんかオーラがね…」
「何だ、オーラって…」
「その人から滲み出てる空気っていうか…。とにかく、人は見かけと中身が違う人が多いんだよ。俺だって大抵、タチに間違われるけど完璧にネコだしな。」
「え”っ」
こいつ…ネコだったのか。
見た目は少し暑苦しいけど背も高そうだし、サッカー部って感じで格好いいのにな。
「…やっぱり驚いたか?」
「なかなか面白いな。」
俺は素直に思ったことを告げると、蘇我は嬉しそうに笑う。
「…進藤はタチだね。可愛い顔してるけど美少女よりとは違うし。やっぱり、見た目と中身のギャップがいいな。」
「そーか?だったら今晩抱いてやるよ」「えっ」
「冗談冗談」
俺がケラケラと笑うと、蘇我は一瞬ぼんやりとして。それから入学式が終わるまで、ずっと俺と話すとき恥ずかしそうにしていた。
1年からぞろぞろと退場し、教室に戻る。
周りはやっぱり生徒会の話で持ちきりだ。
「なぁ、進藤は何か部活入らないのか?」
「面倒くせーからな…帰宅部かもね。」
「えー勿体無い。」
俺らが呑気にだべっていると、後ろから大きな声がした。
「進藤ーっ!」
「おー、純くんに西やん。」
「入学式、退屈だったなー。あれ、友達?」
「さっき仲良くなった蘇我くん。」
「蘇我 圭吾。宜しくな。」
蘇我は糸目にして笑う。
「俺、蓮井 純っ」
「俺は西田 元也。宜しく、蘇我。」
西田は俺に対しては吊り上げている目を今は垂れさせている。
「…偉く態度が違うな。」
「…お前がいけないんだろっ」
「誰もお前とは言ってねー。」
「うっせっ…とにかく、お前がエロい事ばっかするからだっ」
「お前こそ、エロい事ばっか考えてるから一々過剰に反応すんだよ。」
ケロりと答えて見せると、西田が再び怒り出し、純くんがそれを止める。
蘇我はそんな俺らを見て楽しそうだった。
席は出席番号順で、俺の後ろが蘇我。
隣が西田。
西田の後ろで蘇我の隣が純くんだった。
因みに、俺は西田の隣の奴を無理やり退かし席を奪った。
そいつは理不尽だ、と泣いていた。
そして、あまりにも俺が悪者だと言いたげな空気を作り出すから殴ってやろーかと思った。
…まぁ俺が悪いのだが、これ以上悪者になるのも不本意なので代わりにそいつの頭を軽く撫でてやったら、泣いていた奴はキョトンとしていた。
まぁそんなこんなで、無事に俺は皆と近くの席になれたのだ。
暫くすると教室に担任の先生らしき人が入ってきた。
見た目はホストっぽくて、なんかキラキラしている。
キャアーッ!!と歓声が所々からあがる。
「静かにしろっ。俺が格好いい事は俺がよく知ってるから一々騒ぐなっ」
「…ナルシスト野郎がっ」
「…誰だ。今、ナルシスト野郎って言ったのは。」
…やべぇ。心の声が。
西田が「こいつです」とでも言うように、こちらを見ている。
「…えー、さっき入学式前にクラスにいなかったバカの為に、もう一度っ自己紹介をする。俺は担任の上代 怜治(カミシロ レイジ)。教科は数学を担当している。俺の授業での居眠りは万死に値する。よく覚えとけよっ」
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