入学式っ!
俺は今、純くんと西田と一緒にクラス分けの張り紙の前にいた。
「…やった…西田も進藤も同じクラスだ。」
やったやった!と純くんは1人で大はしゃぎしている。
「俺も純くんと一緒で嬉しーな。」
背後から純くんの胸を悪びれもなく両手で揉む。
「…ひっ!」
「んー…Aカップ。」
俺の発言に純くんの顔は真っ赤になった。
すると、誰かに頭をUFOキャッチャーのクレーンの如く鷲掴みされた。
「…俺も同じクラスって事を忘れるなよっ」
西田が鬼の形相で俺に釘を打つ。
「…西やんはB位はありそうだね。」
西田の言葉を無視して、胸を鷲掴みしてやる。
丁度、俺の中指が胸の尖りに当たってしまった。
「ゃ、ンッ…」
「え?」
…今のって、西田の声か?
目の前には、口を抑えて顔を赤くしている西田がいた。
何それ。
「可愛っ」
「…ぶっ殺すっっ!!!」
「なぁ、頼むからもっかい触らせてくれ。」
「殺してやるーっっ!!離せっ純っ!!今日という今日は、許せねぇっ!!」
「くははははっ…!」
西田は相当恥ずかしかったのか、大声を上げて紛らわしている。
「…畜生っ、もぉ死にてぇ…」
俺を涙目で睨んでも可愛いだけなのに。
あー…非常に愉快だ。
◆◇◆
俺は皆が教室に向かっている中、1人先に入学式の会場の体育館に向かった。
何となくだ、何となく。
俺は俺のルールによって、自由が許されている。
秩序なんて言葉はどこかに置いてきた。
何でもやりたいように行動する。
ただ、それだけだ。単純明快。
体育館の中でキョロキョロとしていたら、誰かに声を掛けられた。
「君っ!!」
振り向くと、いつしかの部長さんが後ろに立っていた。
「…おー、レイプ」
そこまで言うと、顔を真っ赤に染めた部長さんは慌てて俺の口を塞いだ。
「…その話は内密にっ」
口を押さえられたままコクコクと頷く。
俺が頷いたのを見て、漸く部長さんは俺の口から手を離した。
「…あの時は助けてくれて、ありがとな。名前教えてくれないし、ずっと探してたんだ。」
「あの時は気が向いただけだからさ。…まぁ、元気そーで良かったよ。」
「…ところで君、そのネクタイの色は1年だよな?今は2,3年だけで、1年はまだだよ?」
「いや、教室行ってもつまんなそーだったから先に来たんだ。」
部長さんは目をパチクリさせて、ブフッと吹き出す。
「…君、面白いな。おいで、他の1年生が来るまで、3年の後ろの席で待とう。」
部長さんは優しく笑った。
「おー、あざます。」
俺が頷くと、先輩は俺の手を引いて3年生の列へと向かう。
「おいっ、京山!その子どうしたんだぁ?」
3年の席に部長と一緒に座ると早速注目された。
「…俺の…弟だっ。手ぇ出すなよっ。」
部長さんがそう言うと、周りから「お前、弟いたのかぁ〜」やら「似てない」やらの声が飛び交う。
…弟は無いだろ。顔似てねーし。俺そんな乳牛みてーな乳してねーし。
「…煩くてごめんな。自己紹介遅れたけど、俺は京山 春日。宜しくね。」
と、隣にいる部長さんは小声で俺に話し掛けた。
「俺は進藤 要。」
「進藤君かぁ。俺のことは好きに呼んでいいから。」
「…じゃあ、部長って呼ぶよ。」
部長は少し固まっていたが、「うん、いいよ」と笑ってくれる。
「部長…頬、大丈夫?」
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