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奈良崎は痛みに耐えきれなくなったのか、遂に泣き出してしまった。


このまま苛めるのも興だが、これ以上続けると奈良崎が狂ってしまいそうなので頭から手を放してやった。



「くくっ…くははははははははっ!!」


こいつは泣いていた方が素直で可愛い。


奈良崎を抱きしめてやると、奈良崎は俺の肩に顔を埋め、しがみついて泣きじゃくる。


「…もっとだ。…こんなんじゃ全然足りねーよ俺は。」



奈良崎、もっと俺を愉しませてくれよ。







◆◇◆




奈良崎を部屋に残して、俺は一人食堂に向かった。



あいつ、腰が立たなくて動けないらしい。

一回しかヤッてないのに体力のねー奴だ。


…まぁ、覚えてたら寮内にあるコンビニでなんか買って来てやろう。





食堂で、適当にメニューから5品選んで券を買い、それをオバチャンに渡す。


オバチャンゃんからトレーに1品を受け取り、どこか空いてる席を探した。




「ここ、いいか?」


俺は空いてたテーブルに座っている奴に声をかける。



「おう、いいぜっ」


そいつはは快く承諾してくれた。


席に座り、トレーを置く。

すると、オバチャン達が俺を見つけ、残り4つのトレーを置いていく。


「…それ全部食べるん?」


目の前の奴は元々丸い目を更に大きくしていた。


「あー…、昨日の夜から何も食べてないからね。」

「それにしてもスゲーなっ。体小さいのに。」


体小さいって…まぁ、悪気がないのは分かるが。いや、やっぱり失礼な奴だ。


「…そーかぁ?あんま君と変わんなくね?」


俺がカツ丼を口に運びながら言うと、目の前の奴は急にガハハハっと笑い出した。


今の会話のどこに笑うツボがあったんだ?…こいつ、あんまり頭良くなさそ。


「確かに俺もチビだっ!ねぇ、君も新入生?」


チビ…だと?

…165ってチビなのだろうか。あまり気にしてなかったが、俺って世間一般的にはチビなのか…?


「おーい、聞いてるか?」

「あ、ああ。そう、新入生。」

「良かった!俺、蓮井 純。同じクラスになれないかもしれないけど宜しくな!」


そう言って男はニコニコと笑う。


…なんか、このそばかすの男は憎めない可愛さがある。


「俺は進藤 要。宜しく、純くん。」

「呼び捨てでいいって」

「いや、君可愛いし。純くんって呼びたい。」


それを聞くと純くんは顔を真っ赤に染め上げた。「俺可愛くないよ…」、と声を漏らしている。


「…なぁ、進藤は部屋何号室?」

「俺は208。」

「…すげぇ偶然。俺、207っ!」


純くんは丸い目をキラキラと輝かせる。


そんなに目を開いて、目は乾かないのだろか。


「今日この後、そっちの部屋遊びに行っていい?」

「うーん…俺は構わないけど、同室者が不良なんだよ。」

「まじか。…不良って、名前は?」


純くんは不良の話に興味津々だ。


「奈良崎 安曇。」



俺がカレーライスに手をつけながら言うと、純くんの顔から血の気が見る見るうちに引いていった。


「…奈良崎 安曇。最凶最悪の不良…この学園に来てたのか。」

「あいつ、そんなに有名人なのか?」


 





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