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 ある日の…【マイソロ3・フレン受ギャグ】



※マイソロ3設定


とある日の穏やかな昼下がり。
俺ことアスベル・ラントは、先程から甲板への入口付近をウロウロしながら、時たまそこから外を伺い見るという不審極まりない行動を繰り返している。…こんなところを同じ騎士団の同期達に見られようものなら、確実に白い目で見られてしまうことだろう。だがしかし!どんなに不審な行動だろうと、やらないわけにはいかないのだ。何故なら外には…

「どぅ………かな?」

「あぁ…すげー気持ちィぜ」

「そう?なら、よかった////」

ああぁぁぁぁ………(泣)
俺の…俺の(←強調)フレン隊長が…(号泣)いつもの鎧を全て外した軽装(ユーリの要望らしい…まぁ着けてたら確実に痛いだろう)で、ひ、膝枕を…!!
恥じらいながらも、腰を抱いてお腹に顔を埋めてくるユーリの髪を嬉しそうに撫でている。…未だかつてあんなに愛おしそうに微笑まれるフレン隊長を見たことがあっただろうか。いやない。

(なんて羨まし……じゃなくて、何故ですか隊長…(泣)
清廉潔白、純真無垢が服を着て歩いているような隊長が…剣の指南より膝枕の方がよっぽど破廉恥だと思うのは俺だけですか……?!!
涙ぐみながら扉にかじりついていると、腰に回っていたユーリの腕が段々怪しい動きを起こし始めた。…ぇ、ちょっ…?!

「っゆ、ゆーりっ…ぁの……手の位置、おかしくないかなっ…?」

「ん?…嫌なのか?」(←切なげに見上げている)

「…っ!!ぃや、もう、お尻でも胸でも好きなだけ…!!」

何言ってるんですか隊長ーーー?!

「Σゆ…もがっ?!」

思わず叫びそうになった俺の口を複数の手の平が押さえ付ける。
ばっ!と見上げるとそこには…何とも愉しそうなライマ国の面々がいた。

『ばっか!今イイとこだろーが!!』

『いやぁ〜…若いって素晴らしいですね〜(笑)』

『悪いな…一応止めたんだけど…』

でもアスベル、後ろから見てたが、大分怪しかったぞ?

そう言って後ろを指差すガイの示す方を見れば…いや、分かってはいたんだけど、やはりカウンターにいるアンジュが物凄く訝し気にこちらを見ていた。
因みに皆、一応小声なためアンジュに会話は届いていないようだ。

『な…何するんですか…!』

『だーかーらぁー、ジャマすんなっての!今叫んだらフレンがどっか行っちまうだろーが!』

イライラしながらライマ国第一王位継承者様はそう吐き捨てた。…言葉の内容とは裏腹に、不愉快極まりないといった感じで二人を睨みつけているが…なら見なきゃいいのにと、自分を棚上げして思ってしまったのは秘密だ。

『し、しかし!!あ、あんな…おぉぉぉぉしりを撫で回すなんて破廉恥極まりない行為、許せません!!(泣)』

『な、撫で回すとか言うな!!腹立つだろ!!(泣)』

『おやおや…青いですねぇ〜二人とも……公共の場で辱められ、それでも相手は恋人だからと拒めない、その狭間で羞恥と快楽に塗れて溺れていく彼の艶やかな姿を愉しむ余裕もないんですか?』←変態

一人本当に愉しそうに眺めているジェイドを呆れたようにガイが見下ろしている。…ルークはジェイドの台詞に顔を真っ赤にしてキレる寸前だ。が、ここではっと気付く。

『こここここ恋人?!そうなのか?!』

初耳といった感じで驚愕するルークに眼鏡と親友兼使用人から憐れむような視線が送られた。二人から明確な答えを貰えなかったため、その視線がアスベルに向けられる。…俺は泣きながら静かに頷いて見せた。


『マジかよ…』

ずーーーーん……

二人分の重い空気に、ガイは頭を掻きつつ件のカップルを見つめる。…もうアレはユーリが離れなきゃ入り込む余地はないだろうと一目で分かる程デキあがってしまっているように見える。真面目が取り柄のアスベルや、お子ちゃまルークでは、フレンに近付く前にユーリに軽く遊ばれて叩きのめされるのがオチだろう。
しかも…

(あれ絶対俺達に気づいてるよな…)

いや、気付かない方がおかしいけど。←(それくらい不審)というか気づいてないフレンがある意味凄い。余程余裕がないんだろうな。(可哀相に…)

『…お前ら諦めたら?』

ポロッと零れた本音に勢いよく顔を上げた二人は、その勢いのままガイに噛み付いてくる。
…俺に文句言っても無意味だろうに。

「諦めるとか諦めないとかの問題じゃない!!俺の隊長に破廉恥な行為を強いることについて「ちょーーーっと待て!!何が『俺の』だ?!フレンはなぁ、お前のでもなけりゃユーリのでもないっつーの!!!(泣)」
「Σな!ぃいくら王族であろうと聞き捨てなりませんよ?!」
「るせぇ!!だぁー!!もぅ、コソコソすんのヤメだヤメ!!!もっと堂々とっ…」

「堂々とナニするって?」

!!!

恐る恐る振り向くアスベルとルークの背後に、後頭部をさすりつつ、黒く微笑むユーリが仁王立ちして見下ろしていた。瞳のハイライトは消え、心なしかこめかみに青筋が浮いて見える。
因みに先程の言い合い中に殺気を感じたジェイドはその場をさりげなく離れ、ガイは全面的に降伏宣言といった感じに両手を挙げて苦笑いしている。

「や、やぁユーリ……た、隊長はどうしたんだ?」

「お前らの声に驚いて逃げちまったけど?」

「あぁ…」

そうか、ユーリが後頭部をさすってるのは声に驚いた隊長に、立ち上がった拍子に振り落とされて打ち付けたせいらしい。地面と違って甲板はさぞ痛かっただろう。隣でルークが「ダセー」と爆笑しているが、後ろのガイはそれを見て冷や汗を通り越して真っ青になっている。…無邪気をこれ程呪ったことはない。

案の定、ユーリの顔から笑みが消え、その手に携えるは彼愛用の二番星。

「人のモンに懸想するたぁ、ちぃっとオイタが過ぎたなぁ?ルーク坊ちゃま…と、アスベル」

あぁ…やっぱり見逃してはもらえないか。
ここへ来てやっと自分の失言に気付いたルークが逃げ出そうとしても、時既に遅く。


「覚悟はいいな?」









その日、バンエルティア号に二つの断末魔の叫びが響き渡った。

そしてその日一日中クローゼットから出てこない騎士様を宥めすかす元騎士の姿が目撃されたとか。



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