2/15
彼氏を起こす方法【TOV・現代パロ・ユリフレ】
※学生設定
僕の朝はユーリをたたき起こすことから始まる。
「ユーリ起きて!学校、遅刻するよ?!」
毎朝毎朝起こしに来る方の身にもなってほしい。呼びかけても、いつも返ってくるのは「うぅ〜ん…」という寝ぼけた唸り声だけ。布団を剥がそうと引っ張ってはみるが、そんな行動は予想済みなのか、両手両足に至るまでしっかりと握り締められていてびくともしない。
「この…
」
剥がせないならと、上から多少乱暴に叩けば、布団を纏ったままくるりと丸まり、叩かれても痛くない背中を差し出す体制に変わった。
…ここまで睡眠に貪欲だと、呆れを通り越して感心してしまう。 が、そう呑気に感心してはいられないのだ。始業時間は待ってくれないし、ましてバスがくる時間はもっと早い。どうしたものかと思案していると、そこでふと脳裏にエステリーゼの顔が浮かんだ。
『リタはこの方法で必ず起きてくれるんです!!』
嬉しそうにその方法を教えてくれたお嬢様に、果たしてその方法は自分にも有効かと再度思案する。しかし、カチリと時計の針が動く音に、時間がなかったのだと決行することにした。
…多分大丈夫。だって僕たちは所謂恋人というやつだから。リタと親友同士のエステリーゼが成功したのなら、僕だって成功するはずだ。
一つ深呼吸して、おそらく耳があるであろう場所に声をかける。
「ユーリ、早く起きて」
「………ぐぅ」
「…君を置いて一人で登校するよ?」
少し声のトーンを落として囁いてみるが、二度寝を決め込もうとしているユーリには全然効果がない。それどころか更にもぞもぞと動いて、こちらに背を向ける体制に変えてきた。加えて「しつけぇ…」という呟き。これには流石にカチンときて、語気も荒くエステリーゼに教えられた言葉を叫んでいた。
「っ僕とベッド、どっちが大切なんだ?!」
…言ってしまってから物凄い羞恥に苛まれたが、それは今は触れないことにして、ユーリの反応を待ってみる。
が、思いの他直ぐに返事は返ってきた。
「…ベッド」
…これまた面倒臭さそうに、投げやりに返された台詞に一瞬で頭の中が真っ白になる。体が震え出して、唇が上手く開けないが、構わずに、
「……そ、じゃあ勝手にしなよ」
今度は僕がユーリに背を向けて歩き出す。
一気に冷めた。ユーリが寝坊して遅刻しようと先生に怒られようと、もうどうでもいい。後悔するのはユーリだ。
もう二度と起こしになんて来てやらないと、荒れる心とは裏腹に、静かに部屋のドアまでたどり着くとドアノブを掴んで回す。
…はずだった。
「…手、邪魔なんだけど」
「……悪かった」
いつの間に起きたのか、ユーリにぎゅうっと後ろから抱きしめられていた。出ていこうと手を伸ばしたドアノブから、その手をやんわりと遮られる。
「何の真似だい、僕は学校に行きたいんだ、離してくれ」
「断る」
「はぁ?!………僕は君の惰眠に付き合っていられる程暇じゃない。これからは好きな時に自分で起きて勝手に一人で登校してくれ。」
遮られている手を無理矢理伸ばすが、やはり固く握られて叶わなかった。
「フレンが起こしに来てくれねぇなら、学校行かない。」
「……………起こしに来たって、起きないじゃないか」
きゅっと唇を噛んで俯けば、抱きしめる腕に更に力が篭る。あたたかい背中の温度に、冷えた心が段々温もりを取り戻していく。
「起きるよ。…フレンが起こしてくれたら、絶対起きるから」
だから一人で行くなんて言うなよ…
「……ばかユーリ」
折角堪えていた涙が、心と一緒に溶けて溢れだした。
結局、その日は二人して大幅な遅刻をするという結果に終わった。
「あ、やっと来ました
」
ここは教室。
でもユーリとはクラスが違うため、今ここに彼はいない。
「どうでした、フレン?」
「はい、大成功です
」
朝の涙が嘘のように晴々とした顔をみせてフレンは華やかに笑った。
「やっぱり涙が決め手です?」
可愛らしく小首を傾げてニコリと笑う様は、愛らしいのにどことなく小悪魔的な雰囲気を醸し出している。かく言うフレンも。
「ええ、…流石はエステリーゼ様です」
…知らないほうがいいこともあるんです。
シリアスってなんだ、これ違うよね?!ただただピュアなフレンさんとダークなフレンさんを書いてみたかっただけという…(だからといってくっつけるなよ…←ぇ)フレンさんがヤンデレ側に偏ると、ユーリさんが果てしなく白くなるというミラクルは望んだ結果ではありません。ただユーリさんまで病んじゃうと確実に死ネタに行くと思って、今回はこんな爽やかな(?)ネタで行ってみました(笑)
ははははは……あぁ恥ずかしい(沈)
(
←
| _
back
|
→
)
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -