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04  



…翌日


「…決めた」

私は船を降りよう

あのあともやもやした気分のまま他の船員達とお酒を飲んでそのままお開きとなった
船長と、ユリちゃんはまあ、言わなくてもいいか…
私はというと自室に戻ってもなぜか寝る気分ではなくて、またお酒を飲んでみても全然寝れなかった
二人のことが、頭から離れなかった
一晩色々考えてみた結果、私は船を降りることに決めた

「はは、ペンギンやシャチになんて言われるか…」

もともと戦闘員ではないし、(いや、護身術くらいは身に着けてはいるが)航海士は三人も要らないだろう

まあ、あくまでこんなのは半分くらい建前だ

船長の、あの顔が忘れられない
ふわりと、見たこともない笑顔で笑った顔が脳裏にこびりついて離れてくれない

「あの二人はいずれ結ばれる…」

ベッドの上で丸くなりながらぽつりと呟く

「まあ、そろそろ降りようと思っていたし、丁度いいかもしれない」

そんな風に明るい考えをしながらも心の奥底では結ばれていく二人を見たくないだけなのかもしれない
恋路の邪魔をする?
でもそんな度胸も勇気も生憎持ち合わせていないし、そもそも私のこの想いは恋心ではなくて…

「ああもう、何考えてんのかわかんなくなってきた…」

ただただ、逃げたくなった

私はそのまま何も考えずに暗い闇へと意識を無理矢理落としていった


「敵襲だぁああ!!」

その日のお昼頃、船員の大声とともに私は跳ね起きた

「敵襲…!」

いつもなら私は一緒にサポートに回っているのだが、今回はユリちゃんがいるのだ

「夢小説効果かね…」

まだ温かい布団から抜け出すと私は腰に長剣と短剣をベルトに差し込んだ

「これじゃあ偽善者だわ…」

ぽつり、と呟くと私はユリちゃんが居るであろう船長室へと急いだ
嫌な音を立てた胸には、気づかないふりをして

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