トリップトリップトリップ(ボツになったもの)
ルイ
有力な情報を持つ者を呼びだす魔法道具によりハリーポッターの世界へ連れてこられた。
呼び出された目的がhp世界の情報だから、それ以外の記憶はほとんど無くなっている。って言っても比較的ニワカだからあまり知識はない。
▼△▼△▼
「明日はマルフォイ家のパーティーへ行く」
朝起きていつも通りヴォルデモートさんの自室を訪ねればそう宣言された。純潔貴族の中でも有力なマルフォイ家のパーティーなのだから、さぞ素晴らしいのだろう。羨ましい……私には縁のない場所であるが。
しかし、いつも仕事の内容なんて私に教えずに行くのになぜ今日は言うのだろうか。あれなのか? 俺様は貴族のパーティーへ行ける身分なんだよアピールなのか?
「あ、そうですか。いってらっしゃい」
「何を言っている。お前も行くんだぞ」
「………は?」
聞き返した声は思ったより低く、ヴォルデモートさんには反抗的な意味を持ったものに聞こえたらしい。睨まれた。違いますよ?!ただ理解が追いつかなかっただけなんです。いきなりヴォルデモートさんがパーティーなんて言うから!
「いやいや無理ですよ!! だって私そんな所に行ったことなんてないですし、礼儀作法も分からないですし!」
「大丈夫だ。ただ笑って私の隣に立っていればいい。笑って誤魔化すのはお前の得意技だろう?」
そう言ったヴォルデモートさんは目を細めて口元に弧を描いている。これは絶対に諦めてくれないやつ。私をいじって面白がってるときにする表情。まったく、嫌がってる人を見て笑うなんて嫌なやつだ。
「………やらかしても怒らないでフォローしてくださいね?」
「そんなこといつもやってるだろう」
ごめんなさいね、鈍臭くて!!
つーか明日って何! 急すぎるでしょ!
私はくるっと方向転換して、少し怒っているのが分かるように足音を立てながら自分の部屋へ戻った。
***
「いいか、お前は何も言うな」
「大丈夫ですよ。わざわざ自分から恥を晒すことはしません。あ、でもボーイさんに飲み物を頼むくらいはしてもいいですよね?」
「私がするからそんな必要はない」
はいはい、そうですか。何も喋りませんよー。
パーティーに行くと宣言された翌日の今日、着飾って化粧をして少しいつもより綺麗になった私は、ヴォルデモートさんの自室へと足を運んだ。
ドレスはあらかじめヴォルデモートさんが用意して置いてくれた。彼の髪と同じ漆黒のドレスはシンプルだけど高級感が漂っている。靴もドレスにあった黒いピンヒール。何センチ?と言うくらい高いのに履き心地がいい。
まじセンスいいよねヴォルデモートさんって。
そう言えば無言で殴られた。痛い。
「褒めたのに…」
「早く準備しろ。姿眩ましのことくらい知っているのだろう?」
「初めてだと気持ち悪くなるんですよね…?」
「さあ。それはお前次第だな」
車酔いとか地味にするタイプだからなぁ。気持ち悪くなって美味しい料理が食べられないことだけは避けたいな。そう覚悟してヴォルデモートさんの腕に掴まれば、お前は食い意地張ってばっかりだなって……言い返せないがムカつく!
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