とある審神者のバレンタインまでの数日間

「バレンタインって知ってる?」
料理中の雑談のつもりで堀川と乱に尋ねてみた。
ちなみに今日の献立は菜花のおひたしに湯葉とキャベツのお味噌汁に鳥肉の照り焼きにモヤシナムル。
私はレンチンした大量のモヤシにごま油と塩を振って混ぜている。
「知ってますよ、チョコレートの日ですよね?」
堀川は茹でた菜花にわさび醤油を和えながら尋ねてくる。
「女の子が好きな人にチョコレートをあげる日だよね?」
キャベツを刻みながら乱も続く。
「日本ではそうなってるよ、日本ではな…本来は男女関係なく大切な人に贈り物をする日なんだが」
そこで私は溜め息を吐く。
「チョコ、欲しい?」
「僕はどっちでも」
「ボクはバレンタイン関係なくチョコが食べたいなぁ」
乱らしい意見だ。
「はぁ…少し金はかかるが奮発するか…光忠だけじゃ他の皆に申し訳ないもんな」
「そういうものですか?」
「光忠だけチョコずるい!ってなるだろうからな」
「義理チョコってやつ?」
「あった方がいいだろう…と思うんだが」
「でも光忠さんが妬いちゃわない?」
「もちろん光忠用のを一番奮発する…実はリクエストされてる」
「光忠さんさすが」
「まったくだ」
「僕も兼さんにあげようかな、あと加州君と安定君にも…兄弟にもあげなきゃね」
さすが堀川、お嫁さん力高い!
男の子だけど。
「乱は?」
「ボクのところは大所帯だから…おこずかいなくなっちゃうよ」
「チロルチョコという手があるぞ?」
「あぁ、そっか!」
乱がぽんと手を打つ。
「そうと決まれば…チョコの手配しなくちゃな」
「主様は大変だねぇ」
「皆にがんばってもらってるからな…これくらいはしなきゃ」
モヤシから出た水を捨てて器に盛り付けていく。
さて、第二段だ。
さすがにボウルが小さいのといっぺんに作るのが大変なので一回では作りきれないのだ。
さて皆用のチョコをどこで買うか…。
夕飯のあとネットで通販でも…と、見てみたが想定してた値段の3倍はする。
これはいかん。
と言うことで店舗に足を運んで注文することにした。
普通の板チョコではあるが、国外ブランドの有名なとこだけあって味は美味しい。
何より国内ブランドにはない風味のものも多種揃えられていて飽きない。
普段食べているチョコとはまた違う味のものも食べて欲しいと思ってこのブランドのチョコを選んだのだ。
味はオレンジやカシス、それと一応それらを好まない子もいるだろうから普通のミルクチョコを。
それぞれ20枚ずつ買って、余ったら私のおやつにしよう。
と、そう算段をつけた。
問題は彼だ。
以前コンビニで売っていたアイスクリームを食べさせたら、このブランドのチョコも食べたい!
と言っていた。
…ちなみにこの有名ブランドのチョコは美味しい。
しかしお高い。
本当に私の感覚からすればお高い。
でも他ならぬ彼のリクエストである。
叶えてあげるのが嫁のつとめだ。
これは他の本丸の女の子を連れてチョコを買いに行くつもりだ。
女の子とデートである。
これほど楽しいことはない。
多少の出費など気にならなくなる。
ふふふ、楽しみだ。
堀川や乱ともチョコを買いに行くのに付き合うことになった。
バレンタインまでは何かと忙しく楽しい日々が続きそうだ。

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