繋ぐ手

彼女は僕の手が好きらしい。
何故って、手袋を外したら頬擦りしたり口付けたりするからだ。
そもそも嫌いならそんなことはしないだろうけど。
固くてごつごつした男の手なんて、どこがいいんだろう。
彼女の柔らかくて温かい手ならわかるんだけどな。
二人きりになって布団の中で戯れていると、彼女は決まって僕の手を取る。
そうして舐めて甘噛みしては、僕の反応を窺っているんだ。
その時の気分にもよるけれど、大体僕が彼女に煽られて彼女を抱く。
だって僕の手を取って舐めたり甘噛みしたりする彼女はとても、とてもかわいらしくて…。
食べてしまいたくなるんだ。
だから僕も彼女がするように、彼女の手を取って舐めてみる。
指の股を丁寧に舐めて、指を吸ってみる。
小さくて柔らかくてすべすべしてて温かい。
指だけでこうなんだから、他の身体の部位もとても美味しいんだろうなって。
実際に食べてしまうと、彼女はどこもかしこも美味しいから困る。
だって病みつきになってしまうから。
僕はあちこち指で、唇で彼女を愛して。
彼女は時々、僕に抱かれながら赤子のように僕の指をしゃぶることがある。
彼女は無意識にやっていることらしい。
美味しいか聞いたら、美味しいって言うから…僕は物好きだなぁと思ったりもするけど。
でも彼女を美味しいと感じている僕もいるのだから、僕も物好きか。
ある夜いつものように僕の手を取って頬擦りする彼女に尋ねてみた。
「どうしてそんなに僕の手に執着するの?」
「好きなの、手が」
頬を撫でれば嬉しそうに微笑む。
「僕も君の手好きだよ、柔らかくてすべすべしてて温かい」
手を取って指先に口付けると、くすぐったそうに笑う。
僕の手を取って指を絡ませた。
とても愛おしくて堪らなくなって、空いた手で彼女を抱き寄せた。
「愛しているよ」
「うん」
「ねぇ、いいだろう?」
「…うん」
こうしてお許しを得た僕はまた、彼女を抱いて眠るのだ。
行為の最中も手を繋いでいるし、終わってからもそうだ。
手と手のコミュニケーションは、とても大事だ。
繋いだ手は僕の感情を素直に伝えてくれるから。
だから僕は彼女の手を取って離さない。
それは執着でもあるけど愛情だから。

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