雲外蒼天-本編- | ナノ


▼ 青紫との食堂-01-


『いただきます。』

ぱちん、と手をあわせてから箸をとる。
今日のメニューは豆腐定食だ。
しかしいつ食べてもおばちゃんが作る料理は美味しいな。なんと言うか、おばちゃんの料理は死んでしまった母様を思い出させるのだ。これが俗に言う、お袋の味と言うものなのだろう。

「蓮夜さん!」
『お、三郎もご飯を食べにきたのか。』
「今日は豆腐定食なんですね。」

名を呼ばれ顔をあげれば、三郎がぱたぱたと食堂の入り口から走り寄ってきてさりげなく俺の隣に座った。そして機嫌がいいのか始終にこにこと笑っている。

以前、彼の変装を見破ってから三郎は俺になつくようになった。まあ悪い気はしないし、むしろ弟ができたみたいだ。それが何だかくすぐったくて嬉しい。

「あの、はじめまして蓮夜さん。三郎がいつもお世話になってます。」

声のした方を見れば、三郎と同じ顔をした男の子と同じ青紫色の制服の子達がいた。あ、三郎の話題にいつも上がる子だ。そう、間違えようがない。

『もしかして不破雷蔵くん?』
「は、はい!そうですが何故名前を?」
『三郎が、いつも君の話をするからな。』

くすりと笑えば彼はなるほど、と手を打ったがしばらく考えてから三郎の方に向き直った。

「………って三郎!蓮夜さんにどんなこと話してるの!?へ、変なこと話してないよね!?」

ガクガクと激しく三郎を揺らしながら、彼、不破は三郎に問い詰める。へ、変なことってなんだ。逆に気になるんだけど。後でこっそり三郎に不破の変なこと、聞いてみるかな。

と言うか、止めてやれよ不破。いつまで揺さぶってるんだ。三郎が酔いそうになってるぞ。



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