▼ 目覚めて-01-
ふっ、と意識が浮上する。
目を開けれてはじめに見えたのは、見知らぬ木の天井。部屋には消毒液の匂いが充満していた。
……ここは何処だ。状況を把握しようと体を起こそうとすると、鋭い痛みが身体中に走った。
『〜〜っぐ!!!』
あまりの痛みに悲鳴を上げそうになるが、それをなんとか堪えてゆっくり起き上がる。辺りを見回せば、医療器具や包帯・薬草等がたくさん置かれていた。
ーーーそう言えば
『………生きて、る…?』
ご丁寧に怪我まで治療され綺麗に包帯が巻かれている。何故? 俺は土井先生と山田先生に殺されたんじゃないのか?否、それよりあの2人は本当に土井先生と山田先生なだろうか?
このあり得ない状況を忘れ、悶々と悩んでいれば、すっと襖が開いた。
「あっ!目が覚めたんですね。5日間も寝ていたから心配しました。良かったです!」
そこには緑色の忍装束を着た、爽やかな笑顔が印象的な容姿端麗な青年が居た。
『えっ、あ……はぁ……、お、お陰さまで?』
普通、忍なら警戒しなくてはいけないのにニコニコと微笑んでる彼を見ていると毒気を抜かれ戸惑ってしまった。全く、俺らしくない。
まあでも、相手が敵なら既に殺されているはずだから大丈夫だろう、たぶん。そんなことより大事なことかなければ。
『……あの、ここは何処ですか?』
「保健室ですよ。」
俺の問いに彼はさらっと答えた。
ふーんそうか。保健室ね。否、そうじゃなくて。
『何処の?』
「忍術学園の保健室です。」
忍術学園ね。それはあれか?某アニメの忍のタマゴが過ごし学んでいる学園なの?俺の予想がだんだん確信へと変わっていく。ああ、やっぱりここは、
ーーー俺が一方的に知っていた世界だ。
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